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航空自衛隊の無人機墜落も拙い情報共有に不満募らせる地元自治体…危機管理は大丈夫なのか

18日の主要五大紙の朝刊1面は、軒並み第2次高市「改造」内閣の顔ぶれが並んだ。「改造」とは名ばかりの、ただの「入れ替え」、もっと言えば高市首相や高市政権の後見役といわれる麻生太郎副総裁のご意向が色濃く出た人事との憶測も広がる。

内閣の顔ぶれが変われば、それへの期待感からか国民の内閣支持率も上向くことが多い。いわゆる「ご祝儀相場」と呼ばれるものだが、時事通信が「改造」直前の17日夕に発表した世論調査によれば、高市内閣の支持率は前月比4.3ポイント減の44.1%で、過去最低を更新したという。

先行きに不安が残る高市内閣だが、これまで高い支持率を維持してきた背景の1つに、小泉進次郎防衛相の存在があるのは確かだ。「小泉覚醒」というフレーズはネットやSNSで拡散され、好意的な反応が多数を占めた。

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そんな評価爆上がりの小泉大臣だが、「改造」前の大事な政局を前にして航空自衛隊の無人機が鳥取県沖に墜落した事故は、本人に冷水を浴びせるものだったに違いない。「グローバルホーク」と呼ばれる空自の無人機が15日の12時58分ごろ、鳥取市青谷町沖から約40キロ周辺の日本海上でレーダーの航跡から消えた。

「グローバルホーク」は空自のホームページによると、全長14.5メートルで幅約40メートル、高さは4.7メートルにもなる大型の無人機。航続時間は約36時間で最大速度は時速約570~590キロ、最大高度は約2万メートルとされている。広域を常時監視できることから、日本周辺の警戒監視活動などに活用され、防衛白書によると1機当たりの値段は約170億円。米国のノースロップ・グラマン社が開発・製造し、国内では青森県の空自三沢基地に3機配備されていた。

空自、ANA、JALの回答

空自によると、無人機の操縦は三沢基地の隊員1人が遠隔操作で担い、当時は任務中だったという。任務の内容については「運用に関わることから答えられない」としたものの、「自衛隊法で決められた『任務』」だと説明してくれた。

自衛隊法第3条の規定で定められた「主たる任務」(同条第1項)とは、「警察機関のみでは対処困難な場合に自衛隊が対応する任務である治安出動や海上における警備行動のほか、弾道ミサイル等に対する破壊措置、災害派遣、領空侵犯に対する措置などが含まれます」(防衛白書)とされる。

通常、自衛隊機も含め国内を飛行している全ての航空機は全国の管制システムがモニターで管理しているという。今回墜落した無人機についても、空自は「必要な情報については全国の管制システムと情報共有はしていた」と述べ、「仮にどこかの管制官がその時間にモニターで鳥取県沖を見ていたら、航跡が消えたことに気付いたかもしれない」と話した。

一方で自衛隊機も時には秘匿性・機密性の高い任務を行うことはある。当たり前の話だ。その場合でも全国の管制システムに位置や高度などの情報共有がされるのか問うと、「もちろん全ての自衛隊機について民間管制と情報共有しているわけでない」と釘を刺し、「あくまで航空機の安全や必要な情報は共有するということだ」と強調した。

では、今回墜落した無人機が仮に近くの旅客機などと接触を起こし、重大なインシデントとなる可能性もあったのかを問うと、「個別具体的な回答は差し控える」と一蹴されたが否定もしなかった。

無人機が航跡から消えたのは15日の12時58分ごろで、その後海上保安庁が無人機の破片らしき浮遊物を発見したのが14時19分ごろ。その間、墜落したとされる鳥取市青谷町沖から約40キロ周辺(鳥取市沖合から隠岐の島間の海域)に運航していた航空機の照会を全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)に問い合わせた。

すると、両社とも夕方近くに返信があり、「当社航空機の飛行データ・運航データの開示は行っておらず、お伝えできない」との文言が突きつけられたため、世界中の飛行機の運航状況をリアルタイムで地図上に表示してくれるアプリ「Flightradar24(フライトトラッカー)」を使用し、当日の該当する時間(12時58分ごろ~14時19分ごろ)をつぶさにチェックしてみた。

すると、おおまかだが、その時間に鳥取市沖合から隠岐の島間の海域上空を飛行する航空機が貨物機も含めて12機いたことが判明した。12機全てが海外の航空会社の便で国内線はゼロだった。このことから、制御不能となった無人機が、仮に周辺を飛行する航空機とトラブルになれば、国際問題をはらむ大問題となっていた可能性も否定できないのではないかと考えた。

事故後の自治体対応のずさんさ

今回の事故をうけ、小泉防衛相は空自に対し①機体の状況把握と速やかな捜索②周辺地域の被害確認③関係自治体への迅速な情報提供――の3点を指示したという。ただ、報道にもある通り、③についてはその後、鳥取県の平井伸治知事が苦言を呈した。朝日新聞によると、16日午前の県議会9月定例会本会議で平井知事は「防衛省からきちんとした話がこない。若干イラついている」と述べたという。

どういうことなのか。この件について担当課の鳥取県危機対策・情報課に話を聞いた。同課によると、最初に防衛省から連絡がきたのは15日の14時59分で、「電話でグローバルホークが鳥取県沖合でレーダーロストした」という一報だったという。

ただ、その後何の連絡もなく、墜落したことが分かったのは21時5分に海上保安庁が公式に発表した安全情報だった。「鳥取市の青谷町沖合で航空機の破片の一部が漂流した」とする、誰もが見られる公式の注意喚起情報だった。県にも自動的に送られてくるメールを通して知ったということだ。

「それまでは『鳥取県沖合』という情報だけなので、何も情報がなかった。漁業関係者の方々には切実な問題だ。例えば、墜落した機体の破片が落ちてきたり、魚の網に引っかかったりすることがある」

平井知事の報道以降、防衛省からはきちんと連絡が来ているというが、「基本的には公に出しているプレスリリースを先んじてもらってる形」だといい、正直な気持ちを吐露した。

「もっと早く分かっていたんじゃないかと思います。もう少し早く出してほしかった。これは担当ベースでもお伝えしました」

隠岐の島町役場「必要な情報だけでもいただきたい」

無人機の航跡が消えた地点から約80~90キロ離れた島根県隠岐の島町の役場職員も同じ気持ちだ。島民の間では、さほど無人機の話題は盛り上がってはいないものの防衛省からは何も情報の提供はないという。

「防衛省などから何らかの注意喚起とかそういう情報の提供はほとんどありません。物が物だけに機密事項もあると思うし、米国との関係もあるのかもしれないが、地元として必要な情報だけでもいただきたい。例えば、どこまで残骸が出るのかとか、油が流出した場合なんかは漁業などにも影響が出るので」

朝日新聞によると、平井知事は17日に報道陣の取材で同日の8時半ごろに小泉防衛相から直接謝罪の電話があったことを明かしたという。また、11時ごろには空自と中国四国防衛局の担当者が県庁を訪れ、事務レベルでも説明を受けたという。

高市「改造」内閣発足を前にして、実際に有事が発生したなかで、関係自治体への情報提供すらおぼつかないこの国の有り様をどう考えるべきか。

なお、事故を起こした航空自衛隊のトップ・森田雄博航空幕僚長は事故当日15日の会見で、「引き続き対応に全力を尽くしてまいります」と述べるとともに、自身が19日から22日までインドに出張すると発表した。現地で行われている日印共同訓練の視察とインド空軍トップとの会談が目的で、「日印空軍種間の強固な連携を示し、今後のさらなる協力連携の推進につなげたい」と話した。

文/寉見陽平 内外タイムス

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