決算の重荷は借金の利払いか GENDAから読み取る「連続買収」の綱渡り感
エンターテイメント関連企業のGENDAが、10日に四半期決算を発表した。同社で社長を務める片岡尚氏は、「計画を上回る売上高」などを記録したとX(旧Twitter)に投稿。調整後と称した当期の純利益は7億円になったと明かしている。
ただし、会社から出された決算短信の「親会社株主に帰属する四半期純利益」では、約7.5億円の赤字であると記載されている。売上高こそ前年同期比で150億円近く増加したが、経常赤字への転落を含め、その他の業績は社長のポストとは違って好調とは程遠い状態になっている。
決算発表の翌日、東証グロースに上場している同社の株は前日比で10%超の下落で取引を終えたが、午前中にはストップ安圏を上下する展開を見せていた。ただし、12日はストップ安近辺まで落ちた反動、米イラン戦闘終結の見通しを受けての世界的な株高を受け、決算発表前の水準まで回復している。
「2040年に世界一のエンターテイメント企業になる」という目標に向けてまい進する同社は、その後も買収という形で規模を拡大。国内の小規模なカラオケ運営企業、ゲームセンター運営企業などを買収する一方、2023年に映画配給会社のGAGA、2024年にカラオケBanBan運営のシン・コーポレーション、2025年にはエイガ・ドット・コム(現映画.com)を傘下に収めるなどしている。また、外貨の自動両替機を手掛けるSMART EXCHANGEも完全子会社としてグループに迎え入れ、外国人観光客にも間口を広げている。
毎月のように他社の買収を進めていた時期もあるのだが、2025年12月にはM&Aの戦略に関する軌道修正を発表。既存事業を含めて成長に対する投資を厳選すると明記したほか、他社の買収を目的とした資金を公募で請け負うことを、今後3年間は実施しないと発表している。これまで買収によって規模を拡大してきた同社だが、その勢いを止めざるを得ないと判断したようだ。
背景には、買収によって肩にのしかかった借金も原因の一つになっているとみられる。決算書には3カ月間で支払った「支払利息」は5億円を超えており、前年同期比で約2倍の金額に膨れ上がった。手持ちの現金が300億円以上あるので、よほどのことがなければ会社存続の危機に陥ることはないのだが、株式市場において株主からマイナス評価を受けた要因の一つになった可能性がある。
名物社長の退任で迎える踏ん張りどころ
GENDAが買収による規模拡大に傾倒し、経営をおろそかにしていたかというと、そうではないだろう。買収対象はほぼエンタメ事業で統一されており、一貫して同じ分野での規模拡大を目指している。
また、上場企業におけるサービス業のカテゴリにおいて、GENDAは株主との対話を特に大事にしている節がある。IRニュースでは既存店舗の売り上げといった一般的な情報に限らず、「よくある質問と回答」を毎月発信し、1行程度の質問に対してPDF1枚分の返答を行うなどしており、決してやみくもに買収を続けていたというわけではない。
情報発信の能力はIR分野だけでない。同社では長年共同創業者の申真衣氏が社長を務めていたが、同時並行して女性誌の「VERY」(光文社)にてモデルとしても活動していた。双方で活動実績を積み上げていた申氏は、経済誌だけでなく、経済産業省が運営するWebサイトのMETI Jornalでもインタビューを受けるなどしており、活動の場を広げていた。
しかし、申氏は2025年に社長を退任。その後は資産管理会社を通じて保有していたGENDAの株を大量に売却し、今年の4月には取締役からも名前が消えた。3月時点では総発行株式の1.4%を保有し続けているが、かつてのような会社との強固なつながりはなくなったように見える。
申氏が会社を去ったから業績が悪化した、と判断するには根拠が乏しすぎるが、申氏が経営の中心にいた時のようなアクティブさが消え、経営に関する停滞感が生まれているのも事実だ。連続買収を続けたことで似たようなつまずきを経験したRIZAPグループや無印良品などのように、立ち止まって考える期間を経て、再び浮上する日が来るのかもしれない。


