コスプレ撮影者が“花の名所”を長時間占有…苦情を防ぐ公園の共存策とは
神奈川・横須賀市の「横須賀しょうぶ園」が5月28日に発表した注意喚起が、SNS上で話題を呼んだ。
同園では、見頃を迎えた藤の花を楽しむ「ふじまつり」の期間中、一部のコスプレ撮影者が同じ場所に長時間滞在したことで、一般の来園者が花を観賞できない事態が起きたという。園側は再三にわたって移動を求めたものの、改善が見られなかったとして、今後同様の行為があった場合には退園を求める可能性もあるとした。
公園や観光施設は、撮影者にとって魅力的なロケーションだ。
しかし、人気の撮影スポットを長時間占有すれば、花を見に来た人や散策を楽しむ人の妨げになりかねない。
こうした問題を防ぐため、コスプレ撮影に独自のルールを設ける公園もある。
大阪市の「花博記念公園鶴見緑地」では、2014年からコスプレイベント「つるコス」を開催している。同園では、2015年からコスプレーヤー-に向けたルールを設け、マナー講習の受講を条件に園内撮影を認める一方、場所の長時間占有や通路をふさぐ撮影、機材の放置、花壇への立ち入りなどを禁止している。
ルール導入の経緯について、鶴見緑地の担当者は当時の状況をこう振り返る。
「コスプレーヤーが特定の場所を占拠して写真撮影をしたり、トイレで着替えをしたりするケースがあり、一般の来園者の方から苦情が寄せられていました。
そうした声を受け、大阪市建設局や鶴見区役所、当時の指定管理者、プロデューサーの方も交えて『ポップカルチャー実行委員会』を立ち上げ、園内での撮影ルールを整えていきました。ルール導入後、一般来園者からの苦情は減ったようです」
鶴見緑地では、昨年度のイベント開催時に12日間で約2000人が参加し、うち約500人がカメラマン、約1500人がコスプレ参加者だったという。
撮影文化そのものを排除するのではなく、一般来園者との共存を図る形で運用が続けられている。
ルールを設けてコスプレ撮影会を実施する公園も
一方、初開催時からルールを設けたうえでコスプレ撮影会を実施してきた公園もある。
沖縄県本部町の海洋博公園では、2019年秋から、ハロウィーンイベントの一部としてコスプレ撮影会を開催している。同園では、開催当初、沖縄県内でコスプレイベントの開催例が少なかったため、県外のイベントルールなどを参考にしたという。
初回からルールを設けた背景について、海洋博公園の担当者はこう説明する。
「更衣室の収容人数に限りがあったため、事前申込制や定員制を導入しました。撮影エリアについても、安全管理上、駐車場や飲食施設、ショップ内などを撮影禁止エリアに設定しています。
長時間の場所占有については、事前申込時や当日の受付で注意を促し、イベント開催時には、園内に『イベント開催中』や『無許可撮影禁止』の案内を掲示することで、参加者と一般利用者の双方に注意喚起しています」
海洋博公園では、特にトラブルは起こっておらず、参加者からはイベントの継続を希望する声も多く寄せられているという。
場所を占有しない、他の来園者の動線を妨げない、無断で撮影しない――公園側が示すルールは、公共空間を利用するうえでの基本的な線引きでもある。
横須賀しょうぶ園の注意喚起は、コスプレ撮影をめぐるマナーと、施設側の運用のあり方を改めて問いかけている。


