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本屋の「文教堂書店」が黒字化を達成 収益を改善させた“改革”とは

事業再生中の文教堂グループホールディングスが、2026年8月期に黒字転換を果たした。黒字転換の背景には不採算店の閉鎖などもあるが、返品を前提とした取引からの脱却が一役買っているようだ。本が売れないと叫ばれる中で、書店のビジネスモデルが変化している。

文教堂は2026年8月期に7800万円の営業利益を出しており、当初の予想であった4000万円を上回って着地している。2027年8月期は1億7000万円の営業利益を出すと計画している。

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2026年8月期には3店舗をリニューアルし、トレーディングカードや中古ホビーなどを扱う駿河屋の併設店などもオープン。書店の一角をカプセルトイ専門店にした「本屋さんのガシャポンのデパート」の売上も好調なようだ。文教堂は売場改革を進めており、書籍だけに依存しない書店の運営に取り組んでいる。

改革の手は主力の書籍販売事業にも及んでいる。2024年7月に書籍の仕入れ業務を受託するブックセラーズ&カンパニーに参画すると発表したのだ。文教堂は2026年8月期の利益率改善の要因の一つとして、ブックセラーズを通じた商品の取り扱いが拡大したことを挙げている。

ブックセラーズは紀伊國屋書店やカルチュア・コンビニエンス・クラブ、日本出版販売が出資して2023年10月に設立された企業。これまで書籍の販売ビジネスは、出版社・取次・書店が連携する委託販売制度をベースとしてきた。書店にとっては売れ残りのリスクを抑えられ、販売実績のない本も店頭に並べやすい仕組みである。

しかし、粗利率は20%程度であり、薄利であることが最大のデメリットだった。本の販売量が多い時代は薄利多売でもうけを出すことができたが、本が売れない時代はデメリットが目立つようになっていたのだ。

書籍の返品依存からの脱却を目指して立ち上がったのがブックセラーズだった。

ブックセラーズは粗利率の目標を30%としている。同社の宮城剛高社長は2025年8月公開の日経ビジネスのインタビューで、対象取引の通算平均は29%台と説明している。

ブックセラーズの「販売コミットモデル」では、返品はできるが、仕入額の全額が戻るわけではない。その代わり、安く仕入れられ、売れれば粗利率が高くなるというものだ。このモデルでの書店の仕入価格は63%前後で、返品時に戻る金額は38%。書店が物流費を負担する仕組みだ。

諸経費を除いた単純な例を挙げると、税抜1000円の本が売れれば370円の粗利益(粗利率37%)が出る。一方、返品した場合は仕入額630円に対して380円相当しか戻らず、250円の差損が生じる。さらに、書店は物流費も負担するというわけだ。

収益改善で「偶然の出会い」減少か

ブックセラーズには「販売コミットモデル」のほかに、「返品ゼロモデル」もある。

文教堂はコミックの販売が低調に推移する一方で、一部の定期誌では買い切り方式での仕入れを継続。需要予測に基づく仕入れの精度向上にも取り組んだ。こうしたことも、利益率改善に貢献しているようだ。

書店は「売れる本」の予測精度を上げ、粗利率の改善に努めなければ、生き残りは難しい。ブックセラーズには、紀伊國屋書店やTSUTAYA BOOK NETWORKのほか、旭屋書店、精文館書店、啓文社など、出資会社以外の書店も参画するようになっている。

ただし、問題点があるのも事実だ。在庫を抱えるリスクを回避しようとすればするほど、売れる確率の高い本ばかりが売場に並ぶことになるだろう。無名の作家の新刊や実験的な作品などが流通しにくくなり、本の多様性が失われる懸念もある。

もっとも、販売数が少ない本が一律に姿を消すとは限らない。古典のように、少部数でも長期にわたり売れ続ける本なら、常備する判断は成り立つ。問われるのは、目先の販売量だけでなく、時間をかけて読者に届く本の価値をどう見極めるかだ。

書店が存続するために、利益率の改善は欠かせない。同時に、売れるかどうか分からない本と読者が偶然出会えることも、書店が提供する価値だ。仕入れ改革によって生まれた利益を、未知の作品を棚に置く余地につなげられるか。文教堂をはじめとする書店の改革は、黒字を確保した先で、どのような売場を残せるかが問われる。

文/不破聡 内外タイムス

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