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家庭内の呼吸器感染、下の子の将来所得にも影響か デンマーク123万人を分析

保育施設などで上の子が持ち帰る呼吸器ウイルスは、乳児の弟や妹の健康だけでなく、成人後の所得や学歴にも影響する可能性がある――。デンマーク・コペンハーゲン大学などの研究グループは、同国の第一子と第二子計123万180人を分析。

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研究成果は2026年7月付で経済学誌『American Economic Review』に掲載された。
(https://doi.org/10.1257/aer.20231521)。家庭内で繰り返されるありふれた感染は、子どもの人生にどこまで影響を残すのか。

研究チームは、1981~2017年にデンマークで生まれたきょうだいの行政記録を連結し、呼吸器疾患による入院、学歴、所得、就業、慢性呼吸器疾患、精神科受診などを追跡した。

着目したのは、集団保育などで感染した上の子が、家庭内にウイルスを持ち込む経路だ。生後間もない乳児は免疫系や肺、脳が発達の途中にあり、RSウイルスなどの感染が重症化しやすい。

第二子の入院、第一子の2~3倍

集計すると、第二子が1歳までに急性呼吸器疾患で入院する頻度は、同じ月齢の第一子の2~3倍だった。差は生後1~3カ月で特に大きく、秋から冬に生まれた第二子や、きょうだいの年齢差が小さい家庭で目立った。上の子が保育施設に通っている場合にも影響が大きく、家庭内感染が重要な経路であるとの見方を支持する結果となった。

ただし、第一子と第二子を単純に比べるだけでは、親の接し方や出生季節など別の要因が混じる。そこで研究チームは、地域と時期によって不規則に変動する幼児の呼吸器疾患流行を利用した。各自治体で13カ月から5歳までの子どもが呼吸器疾患で入院した頻度を流行指標とし、その影響が第一子と第二子でどう異なるかを調べた。

流行指標が第25百分位から第75百分位まで高まると、第二子では第一子に比べ、1歳までの急性呼吸器疾患による入院が100人あたり約2.3件増えた。分析対象全体の平均に対して約33%の増加で、影響は生後半年間の曝露(ばくろ)でより大きかった。

所得、学歴、成人後の健康にも差

呼吸器疾患の流行が強かった環境で乳児期を過ごした第二子には、成人後にも差が見みられた。流行指標が同じ幅で高まった場合、25~32歳時点の賃金と総所得は、第一子と比べてそれぞれ約0.8%低かった。所得順位も0.3ポイント下がった一方、労働市場に参加するかどうかには明確な影響が確認されなかった。

教育面では、高校卒業率が0.4ポイント、大学卒業率が0.6ポイント低下した。中学段階の国語に相当する試験成績もわずかに低く、研究チームは、教育達成度の低下が所得への影響の一部を説明するとみている。

健康への影響も残っていた。16~26歳の慢性呼吸器疾患による入院は平均比で20%増加した。精神科診療所などのメンタルヘルス受診も6.1%増え、とりわけ生後半年の流行への曝露で影響が強かった。

もっとも、上の子から下の子への感染を直接追跡した研究ではない。地域の流行状況と出生順位の組み合わせから影響を推定しており、実際に感染したかどうかや、入院に至らなかった軽症例は個別に把握できていない。医療や育児支援が充実したデンマークの結果を、他国にそのまま当てはめることもできない。

それでも、乳児期の呼吸器感染を一時的な体調不良として片付けられないことを示す結果だ。妊婦や乳児へのRSウイルス対策、保育施設での感染予防、子どもが病気になった際に保護者が休みやすい制度は、目の前の重症化を防ぐだけでなく、子どもの将来にも利益をもたらす可能性がある。

文/吉田光男 内外タイムス

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