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問われた罪状9つ、起訴された事件の被害者10人……元ソフトバンク選手、美嶋隼人被告に懲役16年判決「罪の意識感じられない」とバッサリ【裁判傍聴記】  

複数の女性に路上でわいせつ行為を行ったなどとして不同意わいせつ致傷、不同意性交等罪などに問われたプロ野球元ソフトバンク選手で清掃業、美嶋隼人被告(44)の裁判員裁判の判決公判が22日、横浜地裁で開かれ、佐藤卓生裁判長は「同種前科があるにもかかわらずその失敗を教訓にせず、同じような犯行を繰り返して当時、罪の意識があったとは感じられない」などとして懲役16年(求刑・同18年)の判決を言い渡した。

元ソフトバンク選手の横浜連続わいせつ事件、16~24歳の被害者10人中9人は昨年2月から6月に集中【裁判傍聴記】

美嶋被告はかつて「堂上隼人」の名前で、2008年のドラフト会議で育成選手としてソフトバンクに指名されて入団。09年から12年シーズン途中まで捕手としてプレーした。判決日はくしくも、今年のプロ野球ドラフト会議の日と重なった。

起訴された事件の被害者は当時16~24歳の計10人で、現場はいずれも横浜市内。20年8月の1人を除く9人の被害は昨年2月から6月に集中していた。罪状は9つに及び、美嶋被告はそのうち被害者3人の事件について否認または一部否認していた。

横浜地裁は起訴内容の大半を事実として認定。佐藤裁判長は「被告人の身勝手な欲求によるもので、動機や経緯に酌むべき事情は見当たらない」と断罪した。特に16歳の女子高生と口腔性交し、その様子を動画撮影した事件について「心に一生残る傷を負わせ、引っ越しを余儀なくさせるなど結果は重大」と言及。10人のうち3人とは示談は成立したものの、「同種事案の中でも相当重い部類に属する」と指摘した。

美嶋被告はこれまでの公判ではスポーツウエア姿だったが、この日は紺の上下スーツに白のワイシャツ、ノーネクタイで臨んだ。背筋をピンと伸ばして証言台に座って判決を聞き、量刑が言い渡された瞬間には軽く2、3度うなずいていた。

二度の前科にも関わらず……

美嶋被告は過去、社会人野球時代の05年に強制わいせつ致傷罪で執行猶予付きの有罪判決を受け、ソフトバンク時代の12年8月にも強制わいせつ容疑で逮捕され契約解除された。同事件では13年1月に懲役2年の実刑判決を受け、服役していた。

公判の中で美嶋被告は、当時はロシア出身の元妻からの暴力や離婚をめぐるトラブルがトラウマとなり「女性は敵だと思っていた」「女性に対して怒りのような感情があった」と主張。女性全体に対する敵対感情が、一連の事件の背景にあったと強調した。

路上などで見かけた女性に対し「女性が嫌がるようなことをしてやりたい」「声をかけてわいせつなことをしてやろう」と思ったり、女性が自分のことをにらんだと思い込んで「何か言ってやりたい」と思ったりして、女性たちの後を追ってわいせつ行為などに及んだとした。

また24年2月に交通事故の被害に遭ったこと、元妻との間の娘に会えない状態にあることなどもストレスとなり、「家に一人でいたくない」との思いから夜な夜なドライブに外出して、ナンパ行為やわいせつ行為の目的で女性を探していたとも説明した。

10件のうち8件は口腔性交したり胸をもんだりするなど、何らかのわいせつ行為を行っていた。被告も「性的欲求がなかったというとうそになる」と認めた。一方、他の2件は腹を殴るなど暴行行為はあったがわいせつ行為はしておらず、「女性に声をかけた全てがわいせつ目的だったのでは」との問いに「絶対違います」と語気を強めて否定していた。

公判は9月下旬から判決まで10回にわたり開かれた。美嶋被告は元アスリートらしく上は白、下は黒が基調のスポーツウエアで連日出廷。被告人質問ではおおむね冷静ではっきりとした口調で応じていたが、元妻とのトラブルや交通事故被害の話の際には涙で声を詰まらせる場面もみられた。

美嶋被告が問われた罪状は、不同意わいせつ致傷、不同意わいせつ、不同意性交等、不同意性交等未遂、性的姿態撮影等処罰法違反、児童買春・児童ポルノ禁止法違反、強制わいせつ、脅迫、暴行―の計9罪。横浜地裁は20歳女性に対する脅迫罪についてのみ「『刺されたいの』と脅したとは認定できない」として、この被害者については暴行罪のみが成立すると結論付けた。

文/篠田哉 内外タイムス

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