円買いでは28年ぶり 異例の「日米協調介入」実現した裏側
7月31日、日本とアメリカの両政府が円買い介入を実施したことを3日に日米両財務相が声明で発表した。
「責任ある積極財政」が招いた円安のツケ 為替市場に試される高市政権の経済政策
日米の協調介入が行われたのは、2011年の東日本大震災直後以来15年ぶり。当時は円高是正のための円売りだったため、円買い方向に限れば、アジア通貨危機時の1998年以来、28年ぶりとなる。
この介入により、1ドル164円手前という歴史的な円安水準が、一時157円まで急騰した。
アメリカが為替市場に直接介入することは非常にまれ。他国の通貨を積極的に支援する形はさらに珍しい。この異例の日米協調介入について、トランプ大統領は「日本は円安が進み、少し助けを求めていた。友情の証だ」と発言している。
しかし、その「友情」の裏側には、アメリカ側の事情もあったとみられる。背景のひとつにあるのは日本による大規模な円買い介入が米国債売却を伴うリスクを、アメリカ自身が警戒したことと思われる。
円買い介入の原資は主にドル資産、すなわち米国債を売却して捻出される。日本は米国債の主要保有国のひとつであり、その一部でも市場に放出されれば、米長期金利に上昇圧力を与えるおそれがある。
金利上昇は住宅ローンや企業の資金調達コストを押し上げ、株式市場にも悪影響を及ぼしかねない。つまり、トランプ政権にとって今回の協調介入は、日本を助ける体裁を取りながら、実際には自国の金融市場を守るための予防線だったという見方もある。
さらに、今回の介入でドル売りではなくユーロ売り・円買いが選択された可能性が高い。トランプ政権はかねて「強いドル」路線を掲げており、ドル自体を売る形を取れば、その方針との矛盾を問われかねない上、そもそも協調介入した意味もなくなる。円を支援しつつドルの地位を傷つけないという、アメリカらしい介入だったと言える。
なお、日米両財務相は今後はFIMAレポファシリティーを活用する方針を示している。これは各国中央銀行が保有する米国債を担保として、売却せずにドルを調達できる仕組みで、実現すれば日本は今後、米国債を売却せずに一時的なドル資金を確保しやすくなる。アメリカにとっても、結果的に、米国債市場への売り圧力を抑える形になり得る。
このFIMAの枠組みが整備されれば、アメリカが協調介入から距離を置く展開も十分あり得るが、円安自体は、日米の金利差や財政不安といった根本的な原因が解消されているわけではないため、完全に解消される可能性は低いだろう。






