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ヘルシー料理がはやる中国の健康事情(後編)経済減速でも成長を続けるキユーピーの戦略

今回は前後編に分けて、ヘルシーな料理が流行る最新の中国の健康事情について紹介している。

後編となる今回は、日本とは少し異なる中国の健康飲料の事情と、この流れに乗って業績を伸ばしている、ある日本企業を紹介したい。

ヘルシー料理がはやる中国の健康事情(前編)サラダが国民食になった3つの理由

「野菜茶」が中国で流行る理由

そして、最近の中国にも同様に、日ごろの食生活で不足した栄養を補おうとする動きが盛んになってきている。それがコンビニやドリンクスタンドに並んでいる「野菜茶」である。

日本で健康を意識した飲料といえば、手軽にビタミンやミネラルを補う野菜ジュースや青汁といった商品が主流だろう。

この商品はケールなどの野菜単体に加え、生のフルーツの甘酸っぱさに中国茶の香りや渋みを掛け合わせたものだ。そして、日本の野菜ジュースや青汁とは、明確に異なるポイントがある。

「飲みやすく、飲んで美味しい」のだ。意外かもしれないが、日本人でも飲むと何の抵抗もなく「美味しい」と感じるだろう。

日本の野菜ジュース、青汁は純粋な健康管理や機能性といった面が大きい。主目的は「野菜不足の解消」であり、味を楽しむものというよりは、健康や美容、長寿を目的とした補助食品に近い位置づけである。シニア層や健康意識の高い層が習慣的に飲む側面が強い。

しかし、中国の野菜茶は単なる栄養補給だけでなく、若者の娯楽も両立させたものである。外食やデリバリーによる脂っこい食事、あるいは激しい競争社会によるストレスに対し、「これを飲めばチャラになる」という、軽いご褒美として消費されているのだ。

そのため、日本の青汁や野菜ジュースは、どちらかと言えば野菜不足を補うため、味は二の次とされるのに対し、中国の野菜茶は健康にも良く、見た目も映えるし、ドリンクとしても美味しい、というエンタメ性を持った消費トレンドである点が、最大の違いと言える。

中国のマヨネーズ市場でシェア6〜7割と推定されるキユーピー

中国で起こっている健康意識の高まり、その流れに乗って成長している日本企業の代表格がキユーピーだ。

キユーピーの中国進出は1993年にさかのぼる。進出当初は調味料専門店へ商品を卸していたが、2000年代以降はスーパーへも進出、2015年以降はECプラットフォームへと販路を拡大した。中国国内の生産工場は北京、杭州、広州などに拡大している。

キユーピーの調味料は、高品質な原料を使用しているため、現地競合企業の商品に比べて価格が高い。それにもかかわらず、多くの消費者からの支持を広げている。中国のマヨネーズ市場における同社のシェアは6〜7割に達していると推定され、競合他社を大きく引き離しているのだ。

中国市場におけるキユーピーの戦略、それは今に始まったことではなく、生野菜を食べる習慣がほとんどなかった中国市場において、コミュニティーに入り込む地道な活動を展開している。中国語にはない「食育」という言葉を現地の活動を通じて根付かせようとしているのだ。

実際に、キユーピーは学校や病院などのコミュニティー施設で住民を集め、野菜の栄養素がいかに健康寿命に寄与するかを科学的に解説し、その場でマヨネーズを使ったサンドイッチの試食などを実施している。

単に「美味しい」ではなく、「健康的なライフスタイルのために野菜を食べよう」と呼びかけることで、消費者に、これからはもっと野菜を食べたいという行動変容を促しているのだ。

キユーピーは、かつて日本国内で「サラダにドレッシングをかける」という文化そのものを日本の食卓に定着させたように、現在の中国市場でも健康で安心できるライフスタイルを実現するパートナーとしての位置づけを確立している。

実際に現在、中国経済が減速し、多くの日系企業が現地企業との価格競争で苦戦を強いられる中でも、キユーピーの売上は力強く成長を続けている。

モノがあふれ、商品だけで差別化することが難しくなった現代において、人々の生活を豊かにする文化を築くというキユーピーの戦略は、これからのグローバルビジネスにおける日本企業の理想的な進路である、といえるだろう。

文/下川英馬 内外タイムス

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