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キャッシュレス時代なのに11年ぶり大量生産 「1円玉」が復活した意外な小銭需要

2026年度、造幣局が流通向けの1円硬貨を11年ぶりに量産する。キャッシュレス決済が広がる現在、「なぜ今になって1円玉なのか」と疑問を抱く人も多いのではないか。財務省は当初約2000万枚としていた製造計画を見直し、最終的に約6倍となる1億3200万枚へ増やす方針を示した。

前回量産された2014年度と2015年度は、消費税率が5%から8%へ引き上げられた影響で、1円単位の釣り銭需要が高まった時期だった。その後、電子決済の普及によって必要となる枚数は減少。1円硬貨は2016年度から2025年度まで、造幣局が販売する貨幣セット用などを除き一般流通向けの製造が行われてこなかった。しかし近年、1円硬貨を取り巻く環境に変化が表れている。

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その一つが、スーパーやドラッグストアなどで導入が進むセルフレジの普及だ。現金を投入すると自動で釣り銭を払い出す仕組みのため、機械内部には一定量の1円硬貨をあらかじめ保管しておかなければならない。設置台数が増加すれば、機械で確保される枚数も増え、流通全体の需要にも影響が及ぶ。また、長期間使用された1円硬貨の更新も量産理由の一つ。アルミ製の1円硬貨は軽量で扱いやすい一方、長く流通するほど摩耗や変形が進む。自動精算機では、状態の悪い硬貨が読み取りに影響することもあり、使用が難しくなったものは回収・交換の対象になる。

さらに、店舗側の事情も大きい。キャッシュレス決済は便利な一方、店舗には決済手数料の負担が発生。物価上昇が続く中、その費用を抑えるため、一部の飲食店などでは現金専用の券売機へ切り替える動きも見られる。こうした判断によって現金を使う場面が残り、1円玉を必要とする機会も維持されているというわけだ。

一方、アメリカや欧州などの小銭流通の動きは日本とは異なり、製造コストが額面を大幅に上回る原価割れ(逆ザヤ)や利用頻度の低下を受け、「完全に製造を終了(廃止)」または「流通を激減」させる流れが主流。会計時に端数を四捨五入するルールを定めて小額硬貨の需要自体をなくす国が多い中、セルフレジの都合などで1円玉を大増産する日本は、世界の主要国の中でもかなり特殊なケースとなっている。

ネット上では、今回の量産について「キャッシュレスの時代だから増産は意外だった」「『令和8年』の1円玉を手にしてみたい」といった声も聞かれた。

キャッシュレス決済が広がる中でも、現場では現金を扱う仕組みが残っており、今回の1円硬貨の量産は、変化する支払い環境と実際の流通事情の両方を反映した動きと言えるだろう。

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