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「身のほどを知れ」は悪口かどうか経済から考えてみる

シルバーウィークを利用して台湾に行ってきた。実感したのは、やはり円安と現地の物価高だ。現在、1元がだいたい5円、現地価格に5倍すると、日本円の価格になると考えていい。

「ネタは現場に落ちているんじゃない、ネットに落ちているんだ」ライターの肩書きが取材ライターに変わる瞬間

身近なもので言えば、タピオカミルクティーが60元ほどしたので、300円ということになる。コンビニで言えば、具にもよるが、おにぎりがだいたい30元から50元なので、150円から250円。日本と同価格か、もう日本より高い。

帰国してから、自分がかつて作った2015年の台湾のガイドブックを開いてみた。すると、1元が3.3円、タピオカミルクティーが20元だった。約60円が10年で、約300円になった。

そりゃ、行かなくなるわ、と思った。

外務省が発表した「2025年旅券統計」によると、2025年末時点での日本人のパスポート保有率(国内在住者)は約18.4%。約5人に4人はパスポートを持っていないことになる。

対策のため、今年7月からパスポート取得の手数料が大幅に値下げされたが、付け焼刃感がぬぐえない。根本的な解決が望めない限り、日本人は海外に行かないであろう。

それは、実体経済に見合った円の価値に戻すことを指す。しかし、なんど為替介入しても円は元に戻る。

かつて、プラザ合意では、アメリカの思惑で、日本の実体経済に円の価値が合わないという号令で、円は240円から為替介入によって、1年で一気に160円まで上がった。これが日本経済の身の丈に合っていなかった。

危機感を覚えた当時の蔵相、宮澤喜一は「(巨額の為替介入をしても)ブラックホールへ金を投げ込むようで、一向に相場が動かない、やりようのない経験をしました」(朝日新聞連載、宮澤喜一日録より引用)と語っている。今とやっていることが変わらない。

そして、日本はバブル経済に突き進み、90年代の超円高時代を経て、失われた30年への布石へとなっていく。

この実態と表象が合っていないがゆえに、うまくいかないということは人間関係でも、生活でも何でも言える。身のほどを知れという言葉があるが、この言葉は、このような乖離(かいり)を正せということであり、悪口に聞こえるがありがたい言葉なのでは、と思うのであった。

文/神田桂一 内外タイムス

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