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AIは諸刃の剣 テロを助長するか、もしくは新たなテロ対策となるのか

人工知能(AI)の急速な発展は、国際テロ情勢にも新たな変化をもたらしている。

生成AIによって文章や画像、動画、翻訳などを容易に作成できるようになったことで、テロ組織や過激主義者が情報発信や勧誘に利用する可能性が高まる一方、AIそのものをテロ対策に活用する動きも進んでいる。AIはテロを助長する技術となるのか、それとも新たな対テロ手段となるのか。この問題はどちらか一方では捉えられない。

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テロ組織にとって、AIの最大の利点の一つは情報発信の効率化である。従来、プロパガンダの作成には一定の知識や人員が必要だったが、生成AIを利用すれば、複数の言語による文章や画像などを短時間で作成できる。特定の地域や年齢層などを意識したメッセージを作り、SNSなどを通じて拡散することも容易になる。

実際、国連はテロ組織がAIを利用して宣伝内容の作成や画像・動画の加工、翻訳などを行っている実態を指摘している。特に、AIによってプロパガンダの大量生産や多言語化が進めば、過激思想が国境を越えて広がるリスクは無視できない。

さらに、AIは偽情報やディープフェイクにも利用できる。実在する人物が発言していない内容を発言したかのように見せたり、実際には存在しない人物や出来事を作り出したりすることが可能である。こうした技術がテロ組織の宣伝や社会の分断を目的として利用されれば、物理的な攻撃だけではなく、社会の認識そのものを混乱させる手段となり得る。

ただし、AIはテロリストだけが利用できる技術ではない。むしろ対テロ分野では、膨大なデジタル情報を分析し、テロ関連コンテンツや不審な活動を早期に発見するための手段として活用されている。SNSなどに投稿される大量のコンテンツをAIで分析すれば、テロ組織の宣伝、勧誘、過激化につながる情報を人間だけで監視するより効率的に発見できる可能性がある。

最終的な判断を人間がどう担うかが重要

一方で、AIを対テロに利用すればすべてが解決するわけではない。AIによる判定には誤認や偏りが生じる可能性が十分にあり、誤った監視やコンテンツ削除につながれば、プライバシーや表現の自由を損なう危険もある。

特に、AIが「危険人物」や「過激思想」を自動的に判断するような仕組みでは、最終的な判断を人間がどのように担うのかが重要となる。AIを対テロ目的で利用する際には人権、透明性、説明責任を確保することが必要だ。

今後のテロ対策において重要なのは、AIを万能の防御手段と考えることでも、テロを生み出す危険な技術として排除することでもない。AIによってテロ組織の情報発信や勧誘能力が高まる一方、同じAIを利用してその動きを早期に把握し、遮断することも可能だからである。

つまりAIは、テロ対策における諸刃の剣である。今後の焦点は、AIそのものの規制だけではなく、テロ組織による悪用をどこまで抑えながら、対テロ活動におけるAIの能力を適切に活用できるかにある。AIとテロの関係は、技術の問題であると同時に、人間による監視、法制度、国際協力をどのように組み合わせるかという安全保障上の問題なのである。

文/和田大樹 内外タイムス

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