「ジャパネット拒否」と経営計画を同時に発表 ツインバードに問われる覚悟
ジャパネットホールディングスが中堅家電メーカー・ツインバードの買収を断念した。2日にTOB(公開買付)の提案を取り下げると発表している。
ツインバードは8月31日にジャパネットTOBに反対するとの意見表明をしていた。ジャパネットはツインバードの企業価値向上のためには現経営陣の高いモチベーションが必要不可欠であり、賛同が得られることを買収の前提条件としていた。経営陣からの反対表明が買収断念の決定打となった。
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ジャパネットはテレビ・ラジオ・紙媒体・ECサイトなど、複数の販売チャネルと900万人の顧客基盤を持つ通販会社だ。横並びの家電小売業界とは異なり、独自の顧客基盤があるために価格競争に依存しないモデルを構築している。
ジャパネットはツインバードの買収で、製品企画や製造を迅速に行うという狙いがあった。ジャパネットの購入者層はシニア層が多いため、ツインバードはターゲットを絞り込んだ製品開発に取り組めるというメリットがあった。
ジャパネットは、既存事業の製造の一部をツインバードに切り替える意向も示しており、ツインバードにとっては工場の稼働率を高めるシナジー効果も期待できた。
しかし、ツインバードは取引をしている量販店から、ジャパネットの買収で取引の停止や縮小が懸念されると主張。2027年2月期における売上高の見込み33.3億円のうち、23億円を失う可能性があるなどとして反対を表明した。
また、ジャパネットの傘下に入ることで、高付加価値ブランドとしてのツインバードの認知度が低下し、従来ターゲットとする消費者が離反する可能性を示唆した。
「利益84%減の事業」に注力か
ツインバードはTOBへの反対を表明した8月31日に「中期経営計画2026-2030」を発表している。売上偏重主義を脱し、高収益事業への転換による利益の最大化を基本方針としたものだ。その計画では、2028年度の営業利益を6億円、2030年度を14億円とする高い目標を掲げた。
ツインバードが過去10年で6億円以上の営業利益を出したのは、2020年度と2021年度だけ。いずれも新型コロナウイルスのワクチン運搬庫が売れていた時期である。
「中期経営計画2023-2025」では、2025年度の営業利益を8億円とする目標を掲げていたが、8.6億円の営業損失に終わった。ツインバードはジャパネットの買収に反対し、中長期的に成長軌道を描く青写真を公開したのだが、自ら高いハードルを設けたようにも見える。
2025年度には、採算のめどが立たない家庭用冷蔵庫・洗濯機事業の縮小を決定した。白物家電は中国などの電機メーカーの安価で高品質なものが市場に投入され、ニトリやヤマダ電機などのPB商品の台頭も目立つ。事業の縮小自体には一定の合理性がある。
それでは、ツインバードはどこに成長性を見出しているのか。コロナワクチン運搬技術で培ったFPSC(フリー・ピストン・スターリング・クーラー)だ。ツインバードは用途を「医薬・バイオ」「化学・エネルギー」「計測・環境」「食品・流通」の4分野に設定。特に医薬やバイオには高い成長性を見出している。
2023年時点でアメリカやヨーロッパを中心に需要を開拓し、マーケティング活動を強化すると説明していた。しかし、2025年度のFPSC事業の営業利益はわずか1900万円で、前年から84%も減少している。コロナ特需以降は目覚ましい伸びが見られない。
ツインバードは技術力が高い会社だが、BtoCビジネスを中心に展開してきた会社であり、BtoBの営業力・顧客開拓力は強くない印象を受ける。コロナ禍では、武田/モデルナ製ワクチン用低温冷凍庫を累計約1万2000台出荷したにもかかわらず、その後が続かない姿がそれを物語っているかのようだ。
ツインバードが今回発表した経営計画は、ジャパネットの買収に反対した以上、強い経営責任を負う内容であるはずだ。経営陣の覚悟が問われている。
文/不破聡 内外タイムス






