自衛隊が国内で2回目のミサイル実射 訓練を急ぐその背景とは
陸上自衛隊は16日午後、北海道の新ひだか町にある射撃場からミサイルの演習弾1発を太平洋上の標的に向けて発射した。国内では昨年に続いて2回目。
「地対艦ミサイル」と呼ばれるもので、地上の発射台から海上の敵艦船に向けて発射する用途だ。今回、陸自は訓練の一環として22日午後にも1発を発射した。演習弾は火薬が入っていないものを使用したが、隊員の練度を上げるためには重要な訓練だといえる。
中国が潜水艦から弾道ミサイル発射した3つの狙い 米本土も射程に捉える脅威
陸自のトップ・荒井正芳陸上幕僚長は4日の会見で、国内でミサイルを実射する訓練環境を整えることの厳しさを吐露する。
「これまで海外の良好な訓練基盤を有する米国本土の射場等で実施しておりました」
陸自はこれまでミサイルの実射訓練を米国やオーストラリア、フィリピンで実施してきた。地対艦ミサイルの専門部隊が実戦的な実射訓練を行うのは、海外に限定されてきた形だ。
自衛隊が国内で訓練を行うには、訓練場が狭いことや近隣への騒音の配慮、さらにはさまざまな法規制がある。そのため、大規模な訓練は北海道などの限られた演習場に依存している実態がある。自衛隊が訓練で使用する最新鋭のレーダーシステムや通信機能なども厳しい法規制から本来の力を発揮できない。
「国内に訓練基盤を安定的に保持することで、より多くの部隊による訓練機会を確保することが可能となる。その結果、地対艦ミサイル部隊の練度の維持・向上につながる」(荒井陸幕長)
陸自は6月には、2027年度以降、東京都小笠原村の南鳥島でも地対艦ミサイルの実射訓練ができるよう発射場の整備をした。
自衛隊がここまで地対艦ミサイルの訓練を急ぎたいのは、これまでの「南西シフト」の一環とともに、最近太平洋で活発化する中国やロシアの動きがあるからだ。南西シフトは「台湾有事」を念頭に置いた九州・沖縄地方の防衛体制を強化する方針で、2016年の与那国駐屯地の開設を皮切りに地域で駐屯地や部隊の配備が進んだ。しかし、ここ最近では中国とロシアの戦闘機や爆撃機、艦船の動きが活発化してきている。
この動きに対し防衛省は4月1日、省内に太平洋の防衛強化に必要な自衛隊の体制や装備のあり方を検討する「太平洋防衛構想室」を新設した。小泉進次郎防衛相は3月28日、東京都小笠原村の硫黄島を訪問した際、報道陣に向け、太平洋の広大な部分が防衛上の「空白状態」であることを強調し、警戒感を訴えた。
統合幕僚監部によると、直近の事例で22日に中国海軍のミサイル駆逐艦とフリゲート艦の2隻が沖縄本島と宮古島間の海域を抜け、太平洋へ航行したことが確認されている。鹿児島県の海上自衛隊鹿屋基地所属の哨戒機が出動し、警戒監視・情報収集を行った。太平洋地域の安全保障環境は厳しさを増している。
#陸上自衛隊 は、8月16日から22日までの間、北海道静内対空射撃場において第1特科団及び第2特科団による地対艦誘導弾射撃訓練を実施しました。
陸上自衛隊は、引き続き、練度の維持・向上に努め、我が国防衛に万全を期して参ります。… pic.twitter.com/8kzU80ZrSE— 防衛省 陸上自衛隊 (@JGSDF_pr) August 23, 2026




