自国民を守る気のない高市首相は本当の「保守」なのか…トランプ政権がICCを「制裁対象」
先週、トランプ米政権は国際刑事裁判所(ICC)を敵視し、赤根智子所長を制裁対象にした。それに対し高市早苗首相は「大変残念」とコメントした。「遺憾」ではなく「残念」である。
【福田淳の対談闊歩】玉木雄一郎(第2回)「決断できない」のではなく今は高市政権に与しない立場を取っている
外務省の出す英語版では「very unfortunate」と表現され、「遺憾」を意味する「regrettable」よりも批判のニュアンスはかなり弱く、好ましくない状況を指すものだ。トランプ政権への遠慮が丸見えであり、高市政権に対し一斉に批判の声が上がった。
まず、親米保守で自民寄りとされる読売新聞は社説で「米の暴挙から国際法廷を守れ」と題し、次のように主張した。
「米国のICC加盟国への恫喝(どうかつ)は断じて容認できない。とりわけ日本は最大の分担金拠出国であり、他の加盟国の信任を経て赤根氏を送り出した責任がある。にもかかわらず、高市首相は赤根氏への制裁について『大変残念』と述べるにとどめた。米国の圧力の前では、法の支配どころか、自国民の職務継続の権利を守るという決意すら示せないのか。失望を禁じ得ない」
自民党内でも批判の声は大きい。中谷元前防衛大臣が率いる超党派議連は「緊急非難声明」を出し、総理大臣名で抗議すべきとした。
「日本が送り出した裁判官がその覚悟で職務にあたる時に政府の取るべき態度は明らかでありまして、日米同盟の堅持と法の支配の擁護、これは二者択一ではありません」
国際社会は当然にアメリカを非難、ひるがえって日本は…
国際社会はどうか。EUや国連でもアメリカへの非難が拡大している。例えば、オランダはICCを「断固として支持する」と明言。フランス外務省報道官は声明で「フランスはICCとその職員、そして裁判所を支える市民社会組織に対して取られるあらゆる形態の脅迫と強制手段を糾弾する」と表明した。
少なくとも声明を読む限り、日本より海外の方がこの問題を深刻に受け止めているように見える。この状況を日本政府はどう考えているのか。これでは「日本は自国の人間を守る気があるのか」と思われても仕方がない。
SNSには高市首相への批判と、「保守」の姿勢を疑問視する声があふれている。
「力を持つものに常にこびへつらい、ここまで出世した高市早苗。実力が伴わないまま、日米関係でもトランプにひたすらおもねり続ける姿は、まさにその典型だ。自国民であるICC赤根所長が制裁を受けても『残念』としか言えず、『たまたま日本人だった』と切り捨てるような政権。国際法や法の支配を口にしながら、強い者には逆らえない。これが『保守』や『愛国』の正体か」
「失態続きだな、高市政権は。しかも、残念のひと言で済ませて『遺憾の意』ですらない。助けてやれよ同じ日本人を。普段、連呼してる『日本』『日本人』は口だけか? エセ保守も大概にしろ」
ICCは、戦争犯罪やジェノサイド(集団殺害)、人道に対する罪を訴追するため、国際社会によって2002年に設立された。元衆議院議員で弁護士の山尾志桜里氏はこう投稿している。
「ICCがなければ戦争犯罪を犯しても勝てば免責される世界に戻ってしまう。東京裁判の歴史を抱える日本は、公正な裁判所の重要性を誰よりも知っている。だからこそ日本はICCと赤根所長を守り抜く。アジアにおける法の支配の灯台であり続ける。そのための努力を決して惜しまない」
今回の件で高市政権を批判しているのは、別に共産や社民だけではない。「人権」や「法の支配」は、保守である自民党が大切にしてきた価値観のはずだ。“本物の”保守は、すでに高市首相を見限っているのではないか。
文/横山渉 内外タイムス






