国旗損壊罪法は愛国心を育めるか 懸案事例もほぼ処罰の対象外に
日本の国旗を損壊する行為を罰する法律(国旗損壊罪法)が17日、今国会で可決・成立した。8月13日から施行される。国旗を損壊した人は、2年以下の拘禁刑、または20万円以下の罰金などの罰則を設ける。
日本では、外国の国旗を損壊した際に処罰される「外国国章損壊罪」があり、違反した場合は国旗損壊罪と同じ処罰を受ける。今回の法律制定により、日本国旗を公然と損壊、除去することが罰則の対象に加わったが、法運用には曖昧さが残っている。
「国旗損壊罪」法案の罰則規定に異論続出…全体主義の中で愛国心は育たない、中国を見れば自明の理
処罰の対象者は「人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法により、公然と国旗を損壊し、除去し、又は汚損した者」とある。国旗を破ったり、燃やしたりする行為、それを自ら配信する行為は処罰の対象になる。しかし、その映像と写真をSNSで共有することは、処罰の対象にならない。
自民党のプロジェクトチームが5月にまとめた法案骨子案では、ファミリーレストランなどのメニューにある「お子様ランチ」の旗について議論が行われ、処罰されないと明記した。フェイスペイントで描かれた国旗の除去、国旗をプリントしたTシャツの損壊も、それぞれ処罰の対象外になった。
また、第二次世界大戦を題材にした映画、ファンタジー要素を含んだアニメにおいて、日本国旗が焼ける、踏みつけられる描写があるが、これらも表現の自由を守る観点から、処罰の対象外になる。生成AIを使った創作物も、規制の対象外に指定されている。
処罰対象が明確でないことに抗議するため、X(旧Twitter)では「#国旗損壊チャレンジ」というハッシュタグが作られ、ハムスターが国旗をかじる生成AIの画像、国旗に「レイシストはバカ」と書いた写真などが次々投稿された。SNSユーザーの中には、国旗だけが処罰の対象になっていることに着目し、旭日旗は損壊し放題だとする「抜け道」を伝える意見も見かけた。
抗議の声が相次ぐ一方で、法案成立を歓迎する声もある。2025年10月に「日本国国章損壊罪」の法案を提出した参政党は、単独で提出した初の議員立法を成立させるという成果につながった。
外国の国旗だけが処罰対象になっていたことを不公平だと指摘していた人らも、今回の法成立を喜んでいるが、最も喜んでいるのは高市早苗首相かもしれない。首相に就任する前から「日本の国旗を守る法律がないのはおかしい」と繰り返しており、今回の法成立は長年の主張が実を結んだと言える。
今回の法成立によって、愛国心の醸成にもつながるとする意見もあるが、今後も「抜け道」を使いながらデモ活動などで国旗が使われる可能性もある。曖昧な線引きが残るこの新法は、国旗や国民を守ってくれるだろうか。






