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KADOKAWAの早期退職者募集に154人が応募 54億円の割増退職金で年間約17億円を削減

KADOKAWAの45歳以上かつ勤続5年以上の社員への早期退職者募集に対し、154人の応募があったことが明らかになった。応募者は7月末で退職となり、通常の退職金に加えて割増退職金が得られる。

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KADOKAWAは割増退職金の総額が54億円となる見込みであると発表している。154人が割増退職金の対象となるため、1人あたり平均約3500万円の割増退職金が支払われる計算となる。

一方、KADOKAWAは今回の人員削減策の成果として、年間約17億円の人件費削減効果を見込んでいるという。

大胆な人員削減策に踏み込んだ背景には、業績の停滞がある。2026年3月期は営業利益が前期比で5割以上減少。営業利益率は6.0%から2.9%にまで低下した。利益率低下の主要因の一つが出版・IP創出セグメントだ。

KADOKAWAはライトノベルを得意としているが、ヒット作を送り出すことに苦戦。2026年3月期の出版・IP創出セグメントは期初に10%の増収を計画していたが、着地は3%にも届かなかった。

KADOKAWAは国内出版事業における収益性悪化の要因として、ライトノベルの「なろう・異世界系」など実績のあるジャンルへの偏重を挙げた。市場が飽和状態となり、収益性が悪化したというのだ。

特定のジャンルに偏ったことには背景がありそうだ。KADOKAWAの夏野剛CEOは出版点数をKPIに定めて経営のかじ取りをしてきた。一定の確率でヒット作が生まれるという考え方に立てば、出版点数を増やすことでヒット作の数そのものを引き上げることができる。

ヒット確率を引き上げることは容易ではなく、目利きの編集担当者への依存が高まるなど属人性が強くなりがちだ。KADOKAWAのような上場企業では、属人的な経営手法への依存は難しい側面がある。

一方、組織的に出版点数を増やすことは努力次第で可能だ。夏野氏が出版点数にこだわったのは、そうした考えに基づいたものだろう。しかし、その結果としてジャンルの偏重を招き、収益性が悪化する要因の一つになってしまった。

夏野CEOの再任賛成比率は9割から6割へ急低下

夏野CEOの経営に異を唱えたのがアクティビストのオアシスだ。「経営陣が質より量を重視する戦略を推進してきた結果、中核事業である出版・IP創出セグメントの収益性が毀損されている」などと批判した。

オアシスは夏野氏の退任を要求。6月24日の株主総会で再任議案に反対票を投じるよう株主に求めた。結果的に夏野氏が再任された。しかし、オアシスは夏野氏の再任議案への賛成比率は59.7%であり、前年の90.3%から大幅に低下。株主の4割が再任を支持しなかったと指摘する声明を発表している。

オアシスはKADOKAWAの長期的な企業価値向上を支援するため、KADOKAWAの取締役やその他のステークホルダーと建設的な対話を継続するとしている。対立は長期化の様相を見せているのだ。

KADOKAWAは出版事業の組織再編を実施。ジャンルの整理を通じて意思決定の早い組織に統合・再編成したほか、編集・営業・宣伝・生産部門の意思決定者が部門の垣根を越えて集結する体制を整えた。

出版点数を重視する姿勢を改め、選択と集中によるヒット作創出を急ぐ。つまり、ヒット作創出の確率を組織的に高める方向へかじを切ったということだ。

KADOKAWAは中期経営計画で2028年3月期までの2年間を構造改革期とし、2029年3月期以降は利益成長を追求するフェーズと位置づけている。今回の人員削減も構造改革の一環だ。夏野氏はオアシスから退任を迫られたこともあり、重いプレッシャーの中で迎える構造改革の初年度となる。その手腕には注目だ。

しかし、角川歴彦前会長が東京オリンピック・パラリンピックをめぐる贈収賄事件を受けてKADOKAWAが公表した調査報告書を問題視、夏野CEOなどを相手取って提訴した。アクティビストとの対立には一区切りついたが、新たな火種がくすぶっている。

文/不破聡 内外タイムス

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