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森保ジャパン3184日の教訓 日本代表が世界一を実現するための理想の監督像とは

後任候補をめぐるさまざまな憶測が飛び交っている。FIFAワールドカップ2026(W杯)北中米大会を終えたサッカー日本代表は、次期監督人事が注目を集めている。

約8年に及んだ森保一監督の長期政権は一区切りを迎えた。第3次への続投に加え、コーチを務めた名波浩の昇格や、ロサンゼルス五輪を目指すU-21日本代表・大岩剛監督の兼任案など、後任候補をめぐる報道は尽きない。

日本代表史上屈指の長期政権となった森保体制は、日本サッカーに何を残したのか。その歩みを振り返る。

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森保ジャパンを「史上最強」に押し上げた東京五輪

すべての始まりは、東京五輪だった。

2017年のU-20ワールドカップには冨安健洋、板倉滉、堂安律、小川航基ら、後にA代表の主力となる有望株が多数出場。さらには当時15歳だった久保建英も飛び級でメンバー入りしたこともあり「東京五輪世代」は早くから大きな期待を集めていた。

その期待に応えるように同年10月、森保一が東京五輪を率いるU-21日本代表監督に就任した。翌2018年にはA代表監督も兼任し、東京五輪と2022年カタールW杯を見据えた強化がスタートした。冨安、堂安、久保らを積極的にA代表へ抜てきし、2019年のコパ・アメリカでは22歳以下を中心としたメンバーでA代表を構成。大迫敬介、板倉、前田大然、上田綺世らに貴重な国際経験を積ませた。

五輪代表は横内昭展コーチ(現モンテディオ山形監督)が実質的に指揮を執りながらも、森保監督は両カテゴリーを一体的に強化。世代交代を着実に進めていった。さらに、兼任体制のメリットは、東京五輪でのオーバーエイジ(OA)招集にも表れた。

五輪は所属クラブに招集義務がないため、OA選手の招集は各国共通の課題だ。しかし日本は「A代表をベースに五輪代表を強化する」という方針のもと、所属クラブとの交渉を重ね、吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航の招集に成功。OA組に加え、冨安、堂安、三笘薫、田中碧、鈴木彩艶らを融合させ、ベストメンバーで東京五輪に臨んだ。

惜しくもメダル獲得は逃したものの、この世代はその後のA代表の中心へと成長し、日本代表の新たな土台を築いた。そして、この極めて計画的かつ集中的な強化は、2022年カタールW杯で結実する。

ドイツ、スペインとのグループステージでは、前半は守備を固め、後半から3バックへシフトして攻勢に転じる大胆な采配が的中。決勝トーナメント1回戦ではクロアチアにPK戦の末に敗れたものの、堂安、田中、前田が得点を挙げるなど、東京五輪世代を軸とした強化は着実に実を結んだ。

その手腕が評価され、森保監督は大会後も続投。「ワールドカップ優勝」を目標に掲げ、第2次森保ジャパンが始動した。

第2次森保ジャパンはアジア最終予選を圧倒的な強さで突破し、世界最速で北中米W杯出場を決定。親善試合でもドイツ、ブラジル、イングランドといった世界の強豪を相手に結果を残した。

その中心にいたのも東京五輪世代だった。欧州トップリーグで経験を積んだ選手たちがチームをけん引し、ベテランとの融合も進んだ。第2次森保ジャパンは、いつしか「史上最強」と評されるまでに成熟した。

チームの“輪”を強化した3184日で得た教訓は…

1つの世代に早くから経験を積ませ、長期的な強化を続けた末に迎えた北中米W杯。しかし結果は、決勝トーナメント1回戦でブラジルに敗れ、ベスト32で敗退。率直に感じるのは、「ここまでやっても、世界一にはまだ届かない」という現実だ。2017年10月12日の東京五輪代表監督就任から、2026年6月30日のブラジル戦まで実に3184日。1人の監督が1つの世代を軸に強化を進めても、世界との実力差はなお大きかった。

欧州で研さんを積んだ選手たちのレベルアップは疑いようがない。親善試合では世界の強豪と互角以上に渡り合い、カタールW杯では大胆な采配で歴史的勝利もつかみ取った。だが、ブラジル戦では1点リードして迎えた後半、相手が立ち位置やフォーメーションを変えて攻勢に出ると、その変化への対応で後手を踏んだ。有事の際の修正力という点では、ベンチワークも含めて課題を残したと言わざるを得ない。

森保監督は大会後、「この成長を続けていけば、未来では世界一を取れる日が来ると感じた」と語った。しかし、成長を続けているのは日本だけではない。世界の強豪国もまた、選手、戦術、そして指揮官が進化を続けている。

リオネル・メッシは5度目の挑戦でようやく悲願を達成し、クリスティアーノ・ロナウドはいまだ優勝を経験できず6度目のW杯に挑んでいる。世界最高峰の「個」を擁する強豪国でさえ、一発勝負の決勝トーナメントを勝ち抜き、世界一へたどり着くことは容易ではない。

その一方で、日本はどうあるべきか。集中的な強化を終え、それでも世界との差を痛感した今こそ、監督人事そのものを見直す時期に来ているのではないだろうか。

日本代表は元来、選手の国際経験不足を補うため外国人監督を招へいし、戦術面からチーム力の底上げを図ってきた。一方、選手の欧州進出が進み、海外でトップレベルを経験することが当たり前になった森保政権では、「チームの輪」を重視したマネジメントで組織力を高めてきた。大会中には長友佑都をはじめ、多くの選手がチームワークの良さを口にしていた。その強化策は一定の成果を挙げたと評価されるべきであり、「輪」を築く土台は今後も受け継がれていくだろう。

だからこそ、次の4年間で求められるのは、その土台の上に世界を獲るための戦術を積み上げることではないか。ヨーロッパ最前線の戦術やゲームマネジメントを熟知した外国人監督にチームを委ねる――、そんな決断も、日本代表が世界一を本気で目指すのであれば、真剣に検討すべき時期に来ているのかもしれない。

金に糸目をつけないで依頼できるなら

もちろん、世界的な実績を持つ外国人監督を招へいすることは容易ではない。生活環境や文化の違う日本で指揮を執る決断をしてもらう必要があり、高額な年俸も避けては通れない。交渉は決して簡単ではないだろう。

それでも、日本代表が本気で世界一を目指すのであれば、投資を惜しむべきではない。そこでぜひ推したいのは、イタリア人指揮官のアントニオ・コンテだ。

欧州屈指の名将として知られるコンテは、ユヴェントス、チェルシー、インテル、ナポリなど数々のビッグクラブを率い、リーグタイトルを獲得してきた。3バックのスペシャリストという印象が強い一方で、直近のナポリでは4バックをベースとした可変システムを構築し、セリエA制覇へ導くなど、時代に合わせて戦術をアップデートし続けている。

最大の魅力は、その圧倒的な求心力だ。妥協を許さない情熱ゆえにクラブ首脳陣や選手と衝突することも少なくないが、一度チームがコンテの哲学を共有すれば、そのエネルギーは組織全体を劇的に変える。

森保政権が築き上げた土台に、コンテの戦術と勝者のメンタリティーが加われば、日本代表は新たなステージへ進めるかもしれない。それほど大胆な決断が、いまの日本代表には必要なのではないだろうか。

「輪」を重んじる強化は、日本代表を史上最強と評されるチームへ押し上げた。一方で、世界一への壁を越えるには、それだけでは足りないことも北中米W杯で証明された。その教訓を次の4年間へどう生かすのか。新たな日本代表の挑戦は、すでに始まっている。

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