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講師の浅野潔さん =6月29日、宮古島ICT交流センター

南西諸島の防衛と有事への備え考える 宮古島ICTで市民向け勉強会 元海自1佐の浅野さん講演

 宮古島市民を対象にした安全保障勉強会「海の視点から読み解く南西諸島の護りと備え」(主催・エンドステートナビゲーション)が6月29日、旧下地庁舎3階の宮古島ICT交流センターで開かれた。講師には元海上自衛隊1等海佐で組織コンサルタントの浅野潔さんが登壇。浅野さんは、先島周辺の「逆さ地図」を用いた地政学的な視点から、尖閣諸島周辺や台湾海峡の緊張が宮古島の生活基盤に及ぼす影響を指摘し、有事を見据えた国民保護や全島避難に関する地域固有の課題について市民目線での具体的な備えを呼びかけた。
 勉強会は、受講者に疑問を投げかけた浅野さんが受講者の答えに実情などを解説する対話する形式で進められた。
 浅野さんは、日本の貿易の99・6%が海運に依存している現状を説明し、南の海の安全が宮古島の食料や燃料などの生活基盤に直結している重要性を強調。尖閣諸島周辺で大型化・重武装化する中国海警局の船が接続水域へ侵入を常態化させている問題については、現場が海上保安庁と中国海警の「白船同士」による警察権の対峙でエスカレーションを抑制している二層構造の現状を解説。安易な自衛隊の前面投入は相手に段階引き上げの口実を与えるリスクがあると述べた。
 また、偽情報や印象操作で世論を誘導する「認知戦」の脅威にも触れ、情報を見極めるリテラシーの必要性を訴えた。
 台湾有事が発生した場合の島民避難の実務論では、宮古島市民約5万5000人に加え、観光客や出張者らを含めた「正確な滞在人口」を動的に把握することが計画の出発点になると指摘。有事の事態認定には政府内での調整等で時間がかかり、現場へのミサイル到達時間との間に大きな乖離が生じるため、国民保護計画が発出される前の「空白時間」に自治体が先行して動ける準備の重要性を説いた。
 さらに、全員の即時避難は現実的ではないとして、要配慮者の優先避難と並行し、島内への残留を余儀なくされる場合を想定したシェルター整備の必要性を強調し、平時における港湾や空港のプロセス整備も提案した。平良港や宮古空港は特定重要港湾・空港に指定されているものの、日常の運用実績や有事の受け皿としての整備が未だ乏しいと懸念を示した。
 その上で、海上自衛隊の艦船による寄港や洋上補給、購買などの経済効果も含めたルーチン化を地域として受け入れていく体制づくりを優先すべきだとした。
 最後に浅野さんは行政と住民が共創で課題解決にあたる「リスクコミュニケーション」の重要性を挙げ、「現実を知り、家庭や地域、行政が一体となって『まさか』へ備えることが肝要だ」と締めくくった。

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