織物との出会いなどを語った(右から)豊見山さん、池間さんと浦崎代表理事 =3日、市伝統工芸品センター

宮古上布の魅力語る 織物展 先輩の池間・豊見山さん

 国の伝統的工芸品指定50周年記念「第4回宮古島の織物展2025inMIYAKO~未来へ繋ぐ~」(宮古織物事業協同組合主催)最終日の3日、先輩の池間吉子さん、豊見山カツ子さんを招いての講話があり、2人が織物との出会いなど染織人生について語った。織り手として頑張り、後継者育成にも力を尽くす。後輩らには「世界に誇れる宮古上布を絶やすことがないように受け継いでいくことを望んでいる」と語った。
 「先輩の話を聞く」は、同組合代表理事の浦崎美由希さんが進行役を務めた。
 織物との出会いに池間さんは「(50年余前に)機織りの盛んな荷川取で織物している家庭では、いい子が生まれるとの話を聞いて魅力を感じ始めた。織物組合で講習を受けて十字絣を織り、買い手がついたことで宮古上布をやってみようという気持ちになった」と振り返った。
 豊見山さんは祖母が藍染め、母が機織りをしていた。「小学3年の頃から母の手伝いをしていた。中学2年で母が亡くなったあとは祖母、弟の3人の生活を支えるために母と同じように織りをやりたいとの気持ちを持っていた。機織りは小さい頃から見ていたので自然にできた」と話した。祖母は反対したが母が残した1反を材料に織り、合格をもらえたことが自信になったという。
 その後2人は織り手としての人生を歩んだ。宮古上布が売れない頃、豊見山さんは宮古上布を守るために提案された色を変え、柄を変えるなどする草木染めも行った。池間さんは、宮古上布のほか苧織りをメインに小物なども作り(本土などの)物産展で販売した。
 同組合は手績み苧麻糸で織った宮古上布、紡績苧麻糸の宮古麻織、宮古苧麻織、宮古織の品目で提供しており、浦崎さんが商品名などを説明。平良西原で織物している池間さんは「観光客らには4品目や値段も説明しながら仕事をしている」と話した。
 織り手の人生には池間さんは母、豊見山さんは母と祖母の影響が大きかったという。池間さんは「糸作りしていた母を引き継いでいるが糸の大事さを今さながらに感じている」と感謝した。
 豊見山さんは、祖母が残した最後の糸に「この糸を使ったら祖母が自分の中から居なくなるのではないかというような思いがあり手元に残っている。亡くなって30年、それでも使いきれない」と話した。
 同組合は糸不足の課題、後継者の育成に取り組んでいる。池間さんと豊見山さんも後継者育成に尽力しており、(今後に向けて)この日の講話も引き受けた。

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