バイオ燃料の運用開始 CO2排出量を削減 日本航空が宮古空港で 作業車両で軽油代替燃料
日本航空(JAL)は、19日から宮古空港内作業車両におけるバイオディーゼル燃料「B100燃料」の運用を始めており、23日には報道機関向けに特別公開を行った。同燃料の原料となる廃食油は宮古島内の飲食店などで使用した食用油を利用して精製したもので、軽油と比較して1㍑使用する毎に2・62㌔の二酸化炭素(CO2)排出削減効果があるという。公開には同社宮古空港所、燃料の製造・供給・配送しているアトラス、リーゼル協会、宮古島市の関係者らが説明し、生活の中から排出される廃棄物をリサイクルする地産地消型エネルギーをアピールした。
バイオディーゼル燃料の運用は県内では那覇空港に次ぐもので、国内の離島空港では初めてとのこと。
同燃料は、軽油と混合することなくバイオディーゼル燃料100%で使用する軽油代替燃料。「揮発油等の品質の確保等に関する法律」で認められているバイオディーゼル燃料5%混合のB5燃料に比べ、従来比20倍と大幅なCO2排出量の削減が見込める。JALでは「B100燃料を使用することで空港内CO2排出量を削減し、環境対策およびSDGsを後押しできる」と強調した。
バイオ燃料は、同空港制限区域内で航空貨物や客の手荷物の運送用コンテナを牽引する作業車両「トーイングトラクター」6台のうち2台で使用している。
公開ではアトラスの来間和博代表が廃食油、通常品のバイオディーゼル燃料、高純度バイオディーゼル燃料を見せながら説明。同社は宮古島に営業所を設け、200から300店の飲食店などから廃食油を回収しバイオディーゼル燃料に精製し、JALに配送している。
作業車両にポリタンク容器から給油ノズルを介しての給油方法も見せた。このあと車両は、関西発宮古着の搭乗客の手荷物の運送用コンテナを牽引するなどの作業を行った。
公開後、来間代表は「地元出身者として宮古空港で利用していただけることはうれしい。環境の取り組みなので島内から排出されるCO2の削減に貢献していきたい」と話した。
アトラスなどが加盟しているリーゼル協会の星子桜文会長は「廃食油はごみではなくて資源なので、地域の廃食油が地域でエネルギーとなって循環して広がっていくことを願っている」と期待した。
宮古空港所の荻堂美枝子所長は「JALグループはSDGsの目標であるCO2削減に取り組んでいる。このB100燃料は実質二酸化炭素ゼロを実現できる燃料として期待される。JALグループでは引き続き全国的な展開を考えている」と語った。
嘉数登副市長は、市が地域資源を活用した資源循環型社会の構築などの取り組みをしている中で「JALグループが多良間島を含む宮古圏域の人・物流拠点の宮古空港でCO2の排出の削減に取り組んでいることは環境保全、産業振興、特に観光面から観光のピーアールになる」と述べた。