嘆願書を安富祖氏(左)へ要請する宮城氏 =5日、宮古新報社

老後安心できる島へ 徳洲会 安冨祖最高顧問へ要請

 ことし3月末での閉院予定となっている伊良部前里添の徳洲会伊良部島診療所の経緯説明などに医療法人徳洲会最高顧問の安富祖久明氏らが5日、宮古新報社に洌鎌敏一会長を訪ねた。洌鎌会長はこれまでの同院の貢献などに感謝しながら閉院を惜しんだ。伊良部島の福祉を考える会の宮城吉治氏(すこやか代表)と仲間誉人市議会議員も同席し、平良松原の宮古島徳洲会病院との今後の協力などを要請し、嘆願書を読み上げた。安富祖氏のほか、同院の池間亨事務長、総務課の當山典子係長も同席した。
 同診療所は2000年1月1日に地域住民らの要請もあり、離島へき地における地域に根差した診療所として開院した。15年1月31日の伊良部大橋開通に伴い、夜間を含めた島内救急医療の役割を終えた。
 だが、台風など大橋閉鎖時の救急診療を含め、宮古病院からの診療応援を中心とした研修医や離島・へき地研修などの役割を持ち診療を継続してきた経緯がある。
 その大橋開通から国のへき地認定から外れたことにより、常勤医師の確保が難しくなったことなどで昨年から営業日を減らし閉院へと動いている。3月末日をもってすべての役割を終えることとなる。
 安富祖氏は「洌鎌会長が伊良部町議員時代に伊良部町議会が徳田虎雄理事長を口説き、中心となって動いたことで誕生した伊良部島診療所。徳田理事長の思いから常に地域に寄り添う医療として皆さまにはお世話になってきた。本当に残念だ」と嘆き、感謝を示した。
 池間事務長も「常勤だけでなく現在、医師の確保が難しく、スタッフを再度募ることも困難だと判断したためやむを得ず閉院となった」と述べ、「今後、宮古島徳洲会ではこれまで通り通院が困難な患者さんたちには送迎をするなど地域に常に寄り添いたい」と力強く語った。
 宮古島徳洲会では伊良部地域だけでなく市内で家族と離れ、通院が難しい利用者へ自宅まで迎え、診療したのち自宅まで送り届けている。薬のみが必要な場合は必要な手続きののち配達なども行っている。
 伊良部島の福祉を考える会では同所の営業日減少により同島に住む医療が必要な住民への福祉医療の衰退を懸念し、さまざまな意見交換を行っていることから今後、協力して意見交換や推進していきたい旨を安富祖氏へ要請。安富祖氏は持ち帰り、今後の取り組みを前向きに考えていく方針だ。
 また、宮城氏は同診療所への感謝を示す「まつり」を計画している。これまで同診療所や宮古島徳洲会では、出店や催しものなど地域住民が楽しめるイベントを行っていた。

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