式典後に引き続き行われた初セリでは農事組合法人ピンフが出品した子牛が高値で落札された =JA宮古家畜市場

肉用牛の振興、高値取引を 生産農家、関係者ら祈願 JA宮古市場で24年初セリ

 JAおきなわの「2024年宮古家畜市場初セリ」が19日、平良山中の同家畜市場で行われた。式典では生産農家や購買者、関係者らが今年初のセリ開催を祝うとともに肉用牛の振興発展と高値取引を祈願した。引き続き行われた1月期肉用牛セリ市では平良福山の農事組合法人ピンフが出品した2番牛「福5の12」(去勢)が121万7000円の高値で落札された。昨年の子牛価格は低迷していただけに初セリでは今年の高値取引を期待する声が多く聞かれた。
 式典では、JAおきなわの安谷屋行正専務が関係者の支援、協力に感謝した上で「畜産業を取り巻く環境は子牛価格の低迷や飼料高騰、燃油高騰などで厳しいものがある。この状況の支援を国、県に訴えるとともにJA独自による生産農家の支援策として飼料の高騰対策などを実施している。今後も生産農家に寄り添いながら組織一丸となって厳しい状況を打破すべく行政機関と連携強化を図っていきたい」とあいさつした。
 来賓の座喜味一幸市長は「全国的な子牛価格の低迷や生産資材の高騰などで畜産農家の経営は厳しいものがある。市としては畜産飼料高騰対策などを実施してきたが、購買者の皆さんにおいても厳しい状況のなか継続してセリに参加していただき感謝申し上げる」と述べた。
 明るい話題としては県畜産共進会で3年連続の農林水産大臣賞の受賞を挙げ、「これは生産者や関係機関が熱意を持って和牛改良に取り組んできた成果である」とたたえた。
 県農林水産部の前門尚美部長(代読・砂川喜信県宮古農林水産振興センター所長)は「県の肉用牛生産は生産農家をはじめ関係者の尽力により確実に発展しており、地域社会の維持発展、離島住民の定住促進に大きく貢献している」と感謝。飼料価格の高騰などについては「畜産生産基盤の整備や流通体制の強化を図り、県独自の飼料高騰対策や子牛価格安定対策などを実施し、畜産農家の経営安定や畜産振興に向けて引き続き取り組んでいきたい」と述べた。
 2番牛で出品し高値で取り引きされた農事組合法人ピンフ代表の與那城達さんは「子牛は系統が良く、生まれたときから大きかったので期待していたが、まさか最高の金額が出るとは思わなかった」と笑顔を見せた。平良福山の大福牧場では520頭を飼育しており、そのうち150頭ほどが子牛だという。今年初セリの高値には「この1年、宮古のセリ価格が上がっていけば助かる」と今後にも期待を寄せた。
 23年間購買額上位の表彰者は次の通り。
 水迫畜産(鹿児島)▽山口畜産(山形)▽皇子原肥育牧場(宮崎)▽小田畜産(鹿児島)▽森ファーム(鹿児島・宮崎)▽もとぶ牧場(沖縄)▽藤嶺牧場(鹿児島)▽宇陀牧場(奈良)▽ベルファーム(福島)▽山口畜産(唐津農協・佐賀)

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