市民は若年性認知症およびヤングケアラーについて深く学んだ =市役所2階大ホール

ヤングケアラー深く知る 若年性認知症講演

 2023年度県若年性認知症支援推進事業の一般講演会「ヤングケアラーを学ぼう~親が若年性認知症になったらどうする?~」が4日に開かれ、サテライト会場となった市役所大ホールには同問題に関心のある市民が訪れ、問題解決に理解を示していた。
 本会場は県医師会館で日本ケアラー連盟理事でケアラーワークス代表理事の田中悠美子さんらが講師を務め、元ヤングケアラーの大橋尚也さんを招き体験談とトークセッションが行われた。
 田中さんの講演では「子どもが子どもらしく暮らす」をテーマに近年、高齢化率・人口、障がい者が増加していることでケアが必要な人が増え、介護をしている人が628万人強でその中でも15~29歳の世代で20万5千人いることを紹介。「介護」「看護」「養育」「世話」などのケアを誰もがする時代になっていると説明した。
 その上で「ヤングケアラーはケアラーである前に成長途中の子どもであり、周りが早期に気づくことやねぎらい励ましだけでなく支援の必要性を想定し、しっかり声を聞くことが大切だ」と述べ、特に当事者の「誰かに相談するほどの悩みではない」「相談しても状況が変わらない」といった調査結果が多いことも課題だと訴えた。
 田中さんはヤングケアラーに対し、地域に住む人たちができることとして▽気づき、発見▽さりげない声かけと手助け▽信頼関係構築▽地域の支援拠点から日常的につながる機会をつくる―を挙げた。
 同講演会ではまた、認知症の人の意思を尊重し、住み慣れた地域の良い環境が持続できる社会の実現を目指し取り組む新オレンジプラン支援などを紹介。
 体験談では中学1年生のときに父が若年性アルツハイマー型認知症を発症し、約9年間ヤングケアラーとして寄り添った看護師の大橋尚也さんが実際に感じた体験を話し、ヤングケアラーの実態に聴講者らは聞き入り、同問題の社会的解決に向け理解を示していた。

関連記事一覧