宮古ボウリングセンター閉館
宮古ボウリングセンター(平良あつ子社長)は10日、宮古島唯一のボウリング場としての52年間の歴史に幕を下ろした。建物の老朽化や用地制限により建て替えができないことなどから、事業は引き継がれず土地、建物は売却される予定。最終営業日となった同日も、特別なイベントなどはなく新型コロナウイルス感染防止対策を徹底した上での通常営業となった。半世紀以上に渡り市民に親しまれた娯楽場の閉館に、訪れた多くの人々が別れを惜しみつつ宮古島でのラストゲームを楽しんだ。
施設は1969年11月に開館。娯楽が少ないとされる宮古島で気軽に楽しめるスポーツとして市民に愛されてきた。2010年にはレーンの張り替えや最新コンピューターシステムの導入、ボール、ピンの総入れ替えなど全面改修し営業を続けたが、現在は老朽化により消防法の基準を満たせていないという。また周囲に学校などがあることから用途地域として同所に娯楽施設の新設も不可。
平良社長によると近年の事業経営は厳しく、11年の東日本大震災以降は景気悪化のあおりを受けてきた。コロナ禍で収益化がより困難となったことから、閉館を決めた。
最終日のこの日、午前10時の開館に合わせ多くの若者らが来場。午後には家族連れでゲームを楽しむ姿も見られた。入り口前には「52年間ありがとう」と書かれたホワイトボードに利用客は感謝の寄せ書きを次々と残した。平良社長は「閉館が決まってから多くの声が届き、影響の大きさに驚いた。ここまで続けることができたのは、市民の皆さんのおかげ。心から感謝したい」と礼を述べた。
友人同士4人で訪れた20代男女は「雨でも楽しめる数少ない貴重な娯楽の場だった。長い間楽しませてくれて、ありがとう」と話した。親子5人で訪れた40代の父親は「子どもの遊べる場がまたひとつ消え残念だが、とにかく『お疲れさま』と言いたい」と語った。