農産物加工再稼働へ 宮古島市、施設の指定管理者選定
宮古島市(座喜味一幸市長)はこのほど、下地川満にある市農畜産物処理加工施設の指定管理者を選定した。以前指定管理を受けていた事業者が昨年3月に倒産したことで、イモのペースト加工のみの限定操業を行っていたが、本格的に再稼働することになる。市は7月からの操業開始を目指し、市議会6月定例会に議案を提出する方針。県では病気のまん延で供給がひっ迫しており、発生していない宮古産のイモに強い引き合いがあるという。
以前指定管理を受けていた会社は、旧下地町の第3セクターとして発足。合併に伴い宮古島市が引き継いだが、長年の業績不振で1億円以上の累積赤字が発生。2015年、市が保有する全株式を民間会社に無償譲渡した。24年3月31日までの契約で指定管理を受けていたが、23年3月に破産手続きを行った。
同社は主にアロエベラと紫イモの加工を行っていたが、アロエベラは市内の民間業者が引き継いだ。市はイモ農家を保護するため、ペースト加工が行える事業者と契約し、暫定的な限定操業を続けた。
施設本来の目的である生産物の高付加価値化や販路拡大、生産農家の所得向上を達成するため、新たな指定管理者を公募。事業者から2件の応募があり、4月下旬に開いた選定委員会で管理者を選定した。議会の議決が得られれば、7月1日から指定管理を再開する。契約期間は26年6月30日まで。施設が再稼働により、イモだけに限定せず、マンゴーなど幅広い農産物の加工や販路拡大に取り組むことが期待される。
県では紅イモを使った菓子が土産品などとして人気だが、サツマイモ基腐(もとぐされ)病のまん延で原材料の供給がひっ迫しているという。そのため、病気が発生していない安全な宮古産のイモに強い引き合いがある状況。新規参入を呼びかけるセミナーも開催されたほか、市でイモ栽培を広めている事業者もあるため、市内のイモ農家は増加傾向にあるという。