開通から30周年を迎えた池間大橋全景(狩俣側より撮影・資料

池間大橋が開通30周年

宮古島市平良の池間島と狩俣を結ぶ池間大橋は14日、開通から30周年の節目を迎える。宮古本島と海路を隔てる厳しい環境にあった池間島は、「夢の架け橋」開通で交通の利便性向上、移動時間の短縮で住民生活は大きく変化した。景勝地としての大橋と豊かな自然環境が人気となり多くの観光客が訪れる一方、人口は減少を続けるだけでなく、島の中心産業だった水産業も高齢化で衰退するなど地域振興・活性化の課題は山積している。

池間島集落と池間大橋の風景(2020年3月・小型無人機で撮影)

 池間大橋は、構想から約30年を経て離島苦の解消と宮古本島と一体となった生活・経済圏の形成を図ることを目的に1986年3月の事業着手から11年の歳月と、総事業費約99億円を投じてようやく完成し、1992年2月14日に開通した。
 狩俣の世渡崎と池間島東側を結ぶ全長1425㍍、幅員7・75㍍(片側歩道)で、高欄や親柱など修景をマイロード事業(当時)でグレードアップ。本島側は海中道路と開口部橋りょうの世渡橋348㍍がある。県管理の県道230号(池間大浦線)の一部。2011年度から長寿命化と耐震強化のため橋りょう補修・補強工事が実施された。
 大橋開通当時、島の人口は約930人、390世帯だったが、年次的に減少を続け、20年12月末現在(宮古島市まとめ)で521人、344世帯となり、人口は約44%減少している。池間小学校と中学校も当時、合わせて70人以上だったが、減少を続けている状況から11年度から併置校となり、ここ数年は10人台で推移し、幼稚園は21年度から休園している。
 池間自治会の仲間広二会長は30周年に当たって、「よく人口減少が進んだといわれる。進学や仕事で島を出ていく人が多いが、橋がなければ今以上に減っていたと思う。むしろ橋のおかげで人口が維持できている」と強調する。
 現状の課題で仲間会長は「学校をいかに存続するかだ。今の問題は幼稚園枠の5人以上をなくすこと。池間島も含めて地域にとって教育の場は必要不可欠」と指摘する。
 今後に向け仲間会長は「働いて収入を得る場所が必要。若者が起業しやすいよう宮古島市など行政も支援してほしい」と述べた。また「島を活性化するには魅力である海、海岸、自然環境を守ることが大事。開発させないようにしたい」と強調した。
 池間島漁業協同組合の与那嶺大組合長は、「大橋で流通も良くなり、水揚げした魚も宮古島のセリにも出せるようになった。本土市場への出荷も時間短縮できている」と効果を上げる一方、カツオ漁が途絶えるなど漁船の数が減少し、漁師の高齢化が進む現状に「漁港は年々、整備が進んでいるが、組合員は減少している」と厳しい状況を語る。
 このような中、昨年から6経営体によるモズク養殖が池間島東側の海区ではじまり、深海1本釣り漁業に若者が参入するなど明るい兆しも。与那嶺組合長は「鮮魚だけでなく加工、流通も含めた6次産業化が必要」と述べた。

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