空自宮古島分屯基地に向け出発する自衛隊車両 =平良港下崎ふ頭

PAC3の搬入完了 空路・海路で計8便

 北朝鮮の「軍事偵察衛星」発射計画に対処するため、政府が展開を急いでいた航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の宮古島市への搬入が、27日終了した。自衛隊の輸送艦が那覇港に入港できなかったことが影響し計画は大きく乱れ、市には空路と海路で計8便にわたり関連装備が運ばれた。玉城デニー知事は、同日の記者会見で「県民の安全確保のため、万全の措置が必要と一定の理解をしている」との考えを示した。  
 市には当初、25日と27日の2回に分けて関連装備が搬入されると見られていた。那覇港の予約が民間貨物船などで埋まっていたため、自衛隊は大幅な計画見直しを迫られる事態に。運搬は空路と海路の併用に切り替えられた。
 宮古空港には航空自衛隊の輸送機が、25日に1回、26日に3回、27日に1回の計5回飛来。民間航空機が活発に使用する時間帯での異例の運用となった。
 平良港漲水ふ頭には27日午前4時~6時ごろにかけて、民間の貨物船2隻が複数台の車両などを運搬。荷台にクレーンを積んだトラックなどが確認された。同港下崎ふ頭には同日午後4時、防衛省が特別な契約を結んでチャーターしている民間フェリーの「はくおう」が接岸。
 数人の市民がPAC3展開に反対するシュプレヒコールを上げる中、約20台の車両などを運び込んだ。PAC3の運用に必要なレーダーや電源車などが搬入されたとみられる。
 関係者によると、28日以降は空路・海路いずれも到着予定はなく、「はくおう」によって市へのPAC3運搬は終了したという。一連の装備は上野野原の航空自衛隊宮古島分屯基地で展開されていると見られる。
 PAC3の展開は、北朝鮮の軍事偵察衛星発射計画への対応で、政府が自衛隊に「破壊措置準備」を出したことによるもの。玉城知事は会見で「政府が県民の生命財産の安全を確保するため、万全の措置を取る必要があることに一定の理解をしている」と述べた。
 その上で、港湾が民間の予約で埋まっていたことなどについて、「意図した遅れや抵抗をしたものではないとはっきり申し上げる。県民の不安が広がらないよう政府に迅速な情報提供を求めながら、適切に対応していきたい」と示した。

関連記事一覧