ANA、下地島空港で訓練再開 13年ぶり実機離着陸 運航支えるパイロット育成強化へ
全日本空輸(ANA)は、1日から下地島空港で13年ぶりとなる実機を用いたパイロット(運航乗務員)の連続離着陸訓練(タッチ・アンド・ゴー)を再開した。将来的な事業拡大を見据え、運航を支えるパイロットの安定的かつ着実な乗務・育成の強化が狙い。訓練は予備日を含む20日までの日程で実施されており、6日には報道関係者に訓練の様子を公開。訓練生らが教官の指導を受けながらエアバス機でタッチ・アンド・ゴーを繰り返した。来年2~3月にも同空港での訓練を予定している。

下地島空港の訓練再開は3年前から検討が進められていたという。これまで訓練拠点としてきた中部国際空港の訓練枠が逼迫(ひっぱく)しており、将来的なパイロット養成数の増加に対応するための受け入れ能力確保が課題となっていた。そのためANAから沖縄県や宮古島市などの地元自治体に働きかけ、調整を重ねて再開に至った。
同空港は長さ3000㍍、幅60㍍の滑走路を有し、パイロットにとって視覚的にも操縦や離着陸訓練に適した優れた環境が整っている。ANAはパイロットの技能向上と更なる安全運航を図るため同空港を訓練拠点として再始動させた形だ。
参加しているのは訓練生8人、担当教官4人、進捗管理や全体統括を担う技量管理教官1人、新たに教官資格を取得した1人の計14人。期間中は着陸直後に再び離陸態勢に入る「タッチ・アンド・ゴー」の訓練を中心に行われており、定められた規定回数を達成次第、カリキュラムを修了する見込みだ。

報道関係者向けに公開された6日は、エプロンで教官と訓練生が機体に向かい、運航前の外周点検やコックピットでの入念な確認手順を経て、エアバス機が滑走路へアプローチを繰り返す緊張感に満ちた光景が広がった。

公開後、教官らによる囲み取材も行われた。勝山泰彦さん、栗原晃一さんの両ANAフライトオペレーションセンターエアバス部マネージャー教官が訓練環境としての優位性や再開の経緯、実機ならではの訓練効果、未来の航空業界を担う訓練生への期待について語った。
中部国際空港との比較に勝山教官は「中部空港は定期便などが多く、待機や意図しない飛行経路の変更を管制から求められることがあった」と振り返った。下地島空港は周辺の航空交通に余裕があり、教官の計画通りに必要な飛行経路や訓練科目を柔軟にこなせるため、訓練の効率と効果が大きく向上していると評価した。
羽田空港に匹敵する滑走路の規模についても触れ、「訓練生が着陸時に左右や前後に多少ずれても余裕を持って見守ることができ、安全マージンを確保した上で実践的な指導を行える利点がある」と話した。
約20年前に訓練生として同空港で学んだ経験を持つという栗原教官は、伊良部大橋の開通による観光客の増加など、当時の面影を残しながらも活気あふれる街の発展ぶりに目を見張りつつ「初めてジェット旅客機を操縦する訓練生の姿を見て、自分自身の初心を思い起こす」と胸中を明かした。
最後には勝山教官が「最終日まで無事故で終えることが第一。乗客の命と財産を預かる責任感を持ち、状況変化に的確に対応できる判断力を備えた運航乗務員を育てたい」と決意を述べた。
パイロットを志す若い世代に向けては、「なりたいと思ったらまず行動に移し、自分を信じて最後まで諦めずに挑戦してほしい」とエールを送った。



