一席の宮里さんら表彰 第9回宮古島文学賞授賞式 受賞者を祝福、今後も期待
第9回宮古島文学賞(市文化協会主催)の授賞式が7日、市平良下里のホテルで開かれ、一席の宮里尚安さん(84、沖縄県)、二席の下地カナさん(41、福岡県)と雲海倫さん(50、愛知県)に表彰状が贈られた。会場には関係者らが詰めかけ、文学の力で「島」の新たな魅力を掘り起こした受賞者たちの栄誉をたたえるとともに今後の執筆活動に期待を込めた。
「島」をテーマにした短編小説は、全国から104作品(宮古圏域を含めた沖縄県内21作品)の応募があった。選考の結果、宮里さんが「六月の手拭い」、下地さんが「うむぃでぃ(思い出)」、雲さんが「追懐の赤日」の作品で受賞した。
宮里さんの作品「六月の手拭い」は、宮古島からボリビアへ移民した男を巡る二人の女性の物語。移民してからの消息が伝わって来なかったのにも興味が湧き、男性と許婚者(いいなずけ)の無音に流れ行く日々を設定して書いたという。
一席に宮里さんは「今まで書きたかったことで受賞できたのでこれ以上の喜びはない。こういう喜びを胸に里帰りできたことはうれしい」と話した。
下地さんは「宮古島文学賞の募集を見た時に何かを書きたい。書くなら思い出で、できたのがうむいでぃ。一番書きたかったのは父が若い時分に亡くなった祖母。父、祖父、おじおばの思い出話がいっぱい詰まった作品の世界で父が祖母に再会できたら、どんなにか素敵だろうと思った」と作品を紹介した。
雲さんは、島の物語に「想像力をかきたてる無限の光にめまいがした。それでも書きたいと思った。終戦から80年。戦争の痛みと向かうこと、その思いを『島』の物語に昇華したいと思った」と執筆への思いを語る。
主催者の饒平名和枝会長は「テーマ『島』の切り口が深層的でかつ広がりを感じる。文学の力で掘り起こされる魅力や人の生き方への思索を深めた作品。短編小説に紡がれた作者のメッセージに共感し感銘を受けた。今後とも『島』を独自の視点で発掘し豊かな発想で紡がれる物語や島への温かい眼差しを大切に宮古島における文学の未来を発展させていきたい」とあいさつした。
宮城克典教育長は受賞者を祝福し、「文学作品を世に送り出すまでには様々な過程があり、並々ならぬ情熱と努力が必要である。受賞作品を拝読するにつけ作者のみなさんが『島』というテーマを広い視点で捉えるところにテーマを深く掘り下げ、生と死に触れる作品や心温まる内容の作品、人の生き方について考えさせる作品などその内容に感銘を受けた」と述べた。
選考委員長の椎名誠さん、選考委員の大城貞俊さん、もりおみずきさんによる選考評も行われた。


