【解説】西銘氏実績で圧倒 野党分裂響く 4区衆院選総括

 8日投開票された第51回衆院選沖縄4区は、自民前職の西銘恒三郎氏(71)が8期目の当選を果たし、盤石の強さを示した。野党勢力の分裂という追い風もあったが、勝因の根底には「離島の現実」を丁寧にすくい上げ、公約に反映させた点がある。一方、対立軸となった中道改革連合の砥板芳行氏(56)は、野党内の足並みの乱れが最後まで影を落とし、支持の広がりを欠いた。

■「大臣実績」と「高市支持」が寄与
 西銘氏の勝因は、閣僚を歴任したことによる圧倒的な実績への信頼感にある。選挙戦では離島の輸送コスト支援や港湾整備など、生活に直結する具体策を前面に掲げ、2017年以来負けなしの地力を発揮した。高市首相の地元支持も強く、公明支持層の動揺を最小限に抑えた点も奏功した。前回低迷した石垣島など離島を丹念に回り、自衛隊配備への理解と住民保護を一体で訴えた戦略が、保守層に加え中間層の不安も吸収した。

■中道の岐路、辺野古発言で失速
 敗れた砥板氏は、立憲民主および公明の一部支持層への浸透を図ったが、公示直前の「中道改革連合」結成という急造の構図が足かせとなった。合流した立民幹部による「辺野古新基地の建設停止は非現実的」との発言が「オール沖縄」勢力の離反を招き、無所属地方議員らの支援も広がらなかった。西銘氏との政策の差別化を打ち出し切れなかった点も、浮動層の支持獲得を妨げた。

■分裂の代償、広がり欠いた他候補
 れいわ前職の山川仁氏(51)は南西シフト反対を掲げ、先島地域を中心に街頭演説を重ねたが、安全保障を巡る現実的な不安を抱く層を動かすまでには至らなかった。初出馬の国民新人・崎枝裕次氏(44)は「手取りを増やす」など生活重視の政策を訴え、若年層や無党派層への浸透を図った。ただ、短期間での選挙戦となったこともあり、政策の認知や支持の広がりは限定的にとどまった。

■知事選への影響不可避
 今回の4区の結果は、秋に控える知事選の前哨戦としての意味合いも持つ。辺野古移設反対を軸としてきた「オール沖縄」は、4区で特定候補を支援できない機能不全を露呈した。自民が県内各選挙区で議席を確保、あるいは躍進した事実は、沖縄の政治対立構造が転換点を迎えつつあることを示している。

 「離島の声を国政へ」というスローガンが各候補から掲げられた今回の選挙。8選を果たした西銘氏には、託された一票の重みを受け止め、公約に掲げた「所得向上」と「平和の維持」を着実に具現化する責任が課される。
(那覇支局長・砂川琉壱)

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