3月定例会初日で来年度の施政方針を示す座喜味市長 =市議会本会議場

所得10%向上実現に決意 座喜味市長、23年度の施政方針示す

 座喜味一幸市長は28日、市議会3月定例会が開会するに当たり、来年度の施政方針を演説。公約として掲げている市民所得の10%向上の実現に改めて決意を示したほか、所得向上を含む市政運営の4つの基本的な考え方を説明した。▽誰ひとり取り残さない社会の構築▽離島における不利性の解消▽市民目線による、より良い行政の推進―を進める。所得向上に向けては、農畜水産業と観光業の活性化、6次産業化推進に取り組む。
 所得向上に向けて、農業生産力の基盤となる地力を増進させる実証事業を拡大する。キビの機械狩りで出るトラッシュの堆肥化のほか、効率的で持続性の高い堆肥の製造施設を市内全域に設置することを検討する。循環型農業構築を通して、より質の高い農産物の生産・加工を推進する。また、土づくりにかかる経費などを支援する事業を実施し、農家の生産意欲と所得向上を図る。
 地産地消については、学校給食での地元食材利用率のさらなる向上を図る。6次産業化推進では、上野庁舎を加工・流通の拠点として活用する取り組みを進める。食料安全保障の確保や地域内の経済循環を促進することで、市民所得の向上を目指すという。
 誰ひとり取り残さない社会の構築に向けては、子育て政策をより効果的に推進するために「こども家庭局」を創設する。また旧町村部の多くで人口が減少しているという課題を解決するため、公共交通の充実や地域特性を生かした賑わい拠点の整備などを通して、地域の均衡ある発展を図る。
 離島における不利性解消では、子どもたちが島外の文化・スポーツ活動へ参加する際の渡航費支援の対象を、高校生など県立学校に通う児童生徒にも拡充。さらなる負担軽減を図る。
 農産物の輸送コスト低減については、県に支援拡大を求めていた沖縄本島までの輸送や一次加工品の出荷が認められたことを成果に挙げた。冷蔵・冷凍により一定の温度を維持する流通体制の構築などについて、今後も県と連携して取り組むとした。
 市民目線のより良い行政推進について市長は「行政サービスにおける市民の利便性向上、公平・公正な行政の推進、費用対効果の視点をもった予算執行など、効率的・効果的な行財政の推進が重要」と述べた。
 市長はコロナ禍や世界的な食糧・エネルギー価格の高騰など、激動の時代を迎えているとして「どんな時代でも5年先、10年先を見据えつつ、この島を住みやすく、豊かにしていくことが市政を任された私の責務であると感じている」と決意を新たにした。

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