出陣式で訓示する神谷税関長(左)と敬礼する税関職員ら =3日、那覇クルーズターミナル

旅客増の年末に密輸徹底取締り 沖縄地区税関

 【那覇支局】沖縄地区税関は3日、那覇クルーズターミナルで年末特別警戒の出陣式を行い、密輸防止に向け警戒態勢を強化した。年末は海外からの旅客・貨物が増えるため、密輸事犯の増加が懸念される時期。税関長の訓示後、各班が車両に乗り込み、一斉に取締りを開始した。式後には着岸中のクルーズ船で旅具検査や麻薬探知犬による確認も行い、国民生活の安全確保を図った。
 特別警戒は、年末に向けて密輸抑止を広く周知し、国民生活の安全を守るための重要な取り組み。神谷洋一税関長は訓示で、近年のインバウンド増加と国際物流の活性化に伴い、密輸が増加傾向にある現状に触れた。2024年の不正薬物押収量は2年連続で2㌧を超え、依然として深刻な状況にあるという。
 また、今年5月に関連機関と注意喚起した麻酔成分「エトミデート」が県内の若年層で乱用されていることにも言及し、「極めて憂慮すべき事態だ」と危機感を示した。さらに、金価格の高騰を背景に、消費税の脱税を目的とした金密輸が増加している点を挙げ、「その対策も喫緊の課題である」と述べ、年末期に向けた取り締まり強化の必要性を強調した。
 式典後、職員は各班に分かれ、車両に乗り込んで警戒活動を開始した。那覇港に着岸していたクルーズ船「STAR NAVIGATOR」では、旅具検査や麻薬探知犬による検査が行われ、船内外の違法物品の有無を確認した。
 神谷税関長は取材に対し「年末は密輸のリスクが高まる時期。県民・国民の理解と協力を得ながら、職員一人ひとりが誇りと使命感を持って取り組んでほしい」と述べ、関係機関との連携を通して安全・安心な地域づくりに貢献する姿勢を示した。

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