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半嶺県教育長(中央)に本を届けた上原さんら =25日、県庁

上原さん、県教育長へ絵本贈呈 沖縄戦の語り今を生きる若者へ 亀浜参与から知事にも

 【那覇支局】泊高校通信制課程に通う市在住の上原美春さんが25日、県庁に県教育委員会の半嶺満教育長を訪ね、姉と共に3年の歳月をかけ自費出版した絵本「拝啓愛するあなたへ」の完成を報告、贈呈した。沖縄戦を題材に、元女学徒の語りに花や生き物の挿し絵を重ね「恒久平和への願い」を込めた作品。若い世代による平和継承の取り組みとして教育長は高く評価し、「戦争体験者が減る中で、次の世代が主体的に学び発信する意義は非常に大きい」と称賛した。
 絵本はA4判全46㌻のカラー作品。悲惨な戦争体験を生々しく伝えつつ、挿し絵には花言葉を添えるなど命に寄り添う構成が特徴となっている。
 報告は教育長応接室で行われ、担当教諭の同席のもと、訪問者紹介から始まり、絵本の紹介、制作経緯などを説明した上原さんは一枚ずつページをめくりながら、女学徒の証言をもとに構成した物語や、花言葉を添えた挿し絵について丁寧に紹介した。
 絵本では戦場で失われた命の重みを伝える一方、草花や生き物を描くことで「戦争と平和」「絶望と希望」を対比させる構成としたという。
 半嶺教育長は「強い感動を覚えた。戦争体験者が減るなか、若い世代が主体的に学び発信する姿は平和のバトンをつなぐ大切な営み」と高く評価し、今後の創作活動にも期待を寄せた。
 上原さんは「多くの場所へ届けたいと願いながら制作してきた。報告の場をいただき感謝している」と語り、資料館で史実を何度も確認した制作過程で「継承する重さと責任を実感した」と振り返った。初めて完成品を手にした際は「3年間の思いが形になり安心した」としながら、届いた段ボールの量には「驚いた」と笑顔を見せた。
 今後は特攻隊や当時子どもだった経験者など多様な視点から新たな平和作品づくりにも挑戦したいと意欲を示しているとのこと。
 上原姉妹は発刊へ向け、クラウドファンディングを行った。6月23日の「慰霊の日」から8月15日の終戦記念日まで実施し、目標額の300万円の106%にあたる317万6千円を達成した。
 同行した母の留美子さんによるとこの日、亀浜玲子政策参与を通じて玉城デニー知事にも届けられたとのこと。

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