テーマ「魂の世界」で講演が行われた =久松地区公民館

「魂の世界」を探究 スペアの霊魂が注目 講演、討論で意見交換

 宮古伝承文化研究センター(佐渡山安公所長)は15日、久松地区公民館で「魂の世界」をテーマに講演、討論を行った。島村恭則氏(関西学院大学社会学部長)は「『魂の民俗学・霊的なもの』の構造をめぐって」の演題で講演。霊力や霊魂、精霊、神など「霊的なもの」(人知を超えた超自然的な存在)について独自の考えを示した。宮古島習慣の「マウガン(陶器の香炉に灰を入れ線香を立てる)」には霊魂が宿っている人間の体とは別に存在するスペアの霊魂「マウ」が宿っているとの考えも示した。16日は宮古島の神と森を考える会の第30回講演・シンポジウムが開催される。
 第18回講演・シンポジウムでは、佐渡山会長が「昨年に続いて人間の魂について幅広く考えたい。(今回は)フロアの意見も多く取り入れながら進めていきたい」とあいさつした。
 配布した資料を基に講演した島村氏は、「霊力とは物理的な力とは区別される超自然的な力であり、霊力が凝固すると霊魂になる。人体には胎児のときか出生の際に霊魂と霊力が宿る。霊魂はやがて意志と個性を持った(=人格化した)人間霊になる」などとの考えを示した。
 人体に宿らないものは山・海・川・岩石・動植物などからなる自然界に存在し続ける(浮遊している場合と憑依している場合とがある)が、そのなかには意志と個性を持った精霊になるものがあると述べた。
 齋藤正憲氏(白鷗大学教育学部准教授)は「カンカカリャの言葉」の演題で講演した。
 宮古や石垣、沖縄本島、奄美、鹿児島などでカンカカリャ(巫者)30人に話を聞いたと述べ、宮古で聞いた7人の言葉は「神が乗り移って、さまざまな現象が起こる」、「祖母の霊が、あれやこれやと指示を与えてくれる」、「カンカカリャよりもツカサとしての職責の方が重要」、「言霊で伝えた方が伝わる気がする」、「言葉が雨のように降ってくる」などと紹介した。
 7人の構成は男性が4人、女性が3人と男性が過半数を占めた。石垣や奄美と比べても割合的に男性が多いことも紹介した。
 討論は、佐渡山所長と居駒永幸副所長(明治大学名誉教授)を司会に行われ、カンカカリャの根間ツル子さん、宮国正男さんらが「魂の世界」で話した。
 16日午後1時から始まる宮古島の神と森を考える会の講演・シンポジウムは「久松の神・人・自然」をテーマに地元住民らを交えて意見交換する。

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