
大型輸送ヘリによる通信機材車両の吊り上げ搬送を実演した
=19日、東風平運動公園
200機関で大規模防災訓練 本島南部圏域 想定M9.0地震に備え実働
【那覇支局】大規模地震と津波を想定した県総合防災訓練が19日、那覇市を主会場に南部圏域14市町村で行われた。訓練は、沖縄本島南東沖を震源とするマグニチュード9・0の地震が発生し、津波や土砂崩れで広範囲が被災した想定で展開。県内各地で救出救助、通信確保、物資輸送など多様な場面を再現。今回の訓練を通じて、陸海空の連携と多機関連携による実効的な災害対応力の強化を図った。
今回の訓練には陸海空自衛隊、県警、消防、医療機関、通信・ライフライン各社など約200機関が参加。那覇市では那覇市民体育館を主会場に土砂災害・トンネル火災救出、豊見城市では物資輸送、南風原町では避難所設営、久米島町ではドローンによる医療物資輸送など各地で多様な実動訓練が同時に行われた。
そのうち、八重瀬町の東風平運動公園を会場に行われた訓練では自衛隊や通信事業者、関係機関が連携し、災害で道路が寸断された場合を想定した車両の空輸訓練を実施。大型輸送ヘリによる通信機材車両の吊り上げ搬送を実演し、空からの物資・通信支援体制の有効性を確認した。
訓練では自衛隊員らが地上で誘導信号を出し、上空の輸送ヘリがワイヤーで通信車両を吊り上げて移送。着地地点では別の隊員が連携して安全に着地させ、迅速な通信復旧に向けた手順を確認した。
県内通信各社は無線・スターリンクによる非常通信確立訓練も行い、被災地における情報途絶の防止体制を検証。参加機関はNTT西日本、ドコモCS九州、沖縄セルラー、ソフトバンク、楽天モバイルなど。
県防災危機管理課は「陸海空・民間の協力により、実際の災害時にも機動的に対応できる体制を確立することが目的」と説明。空輸訓練は今後も県内各地で継続実施される予定だ。