
自衛隊への理解促進を決議 県議会最終日 自公の賛成多数で可決
沖縄県議会(中川京貴議長)は9月定例会最終日の8日、県政野党の自民、公明が提出した「自衛隊及び隊員とその家族に対する差別的な風潮を改め、県民に理解と協力を求める決議」を賛成多数で可決した。沖縄で、地域行事から自衛隊の締め出しを求める政治運動が活発に行われていることを念頭に「『自衛隊である』という理由で社会参加の機会が奪われ、隊員や家族の尊厳が傷つけられることがあってはならない」と指摘。自衛隊の活動に理解を求めた。与党は決議について「憲法の平和主義や基本的人権を否定するもの」として反対した。
9月に開かれた「沖縄全島エイサーまつり」では、初参加が決まった陸上自衛隊第15旅団に対し、革新系の政治家や団体が「県民感情」を理由に参加中止を要請。自衛隊に対する抗議活動のあり方が議論になり、自民党が決議提出を求めた。
当初は自衛隊に対する職業差別を許さないという内容の文案だったが、公明が「職業差別と断じることはできない」と難色を示したため「差別的な風潮」という表現に変更した。
決議では、沖縄戦を経験した県民感情に触れ「防衛政策への批判や抗議、意見表明は民主主義社会において当然のこと」と「表現の自由」の尊重を強調した。
一方で「過去には『自衛隊である』という理由だけで行政サービスの拒否や教育現場からの排除、地域行事や社会的な節目への三kを認めないといった行為があったことも事実であり、今もなお、隊員や家族が心ない言葉の対象となり、活動が妨げられる事案が見られる」と懸念。
自衛隊への差別的風潮は「地域社会と多様性、共生の精神を損なう」とクギを刺した。
自衛隊の任務である防衛、災害対応、人命救助、緊急搬送などに触れ「県民の安全と生活を支える大切な存在」「社会全体がその役割と努力を正しく理解し、共に支え合うことが望まれる」と訴えた。
エイサーまつりでの自衛隊への抗議活動など、個々の具体的事案については言及しなかった。
与党は「自衛隊の活動を巡って抗議や批判をすることは差別ではない」と反発した。中立派は退席した。(八重山日報)