
新隊員16人が徒歩防災訓練 陸自宮古島 伊良部・下地島で夜間行軍
陸上自衛隊宮古島駐屯地は5日から6日にかけ、2025年度後期教育に参加する新隊員16人による徒歩防災訓練を伊良部島から下地島で実施した。災害時に車両が使用できない状況や徒歩での被災地進入、避難所への物資搬送を想定した訓練で、新隊員は総重量約20㌔の荷物を背負って長山港から下地島周回道路を1周し、佐良浜漁港までの公道約35㌔の道のりを歩き、状況に応じて行進速度を調整しながら進んだ。

同訓練は特技課程および一般曹候補生課程(後期)の一環。背負う荷物には、下着類や人命救助に使う水分2㍑、被災者用の救助セット、水や糧食なども含まれる。
出発前の長山漁港には、宮古地区自衛隊協力会の関係者や家族らが駆けつけ、拍手で隊員を激励した。
5日午後7時、長山漁港を出発した隊員らは、30分かけて海の駅に到着。約2㌔を想定よりやや速いペースで歩いた。その後は伊良部島を一周する形で進み、下地島も経由。夜間歩行を続けながら、約12時間にわたり防災対応力を磨いた。
明けた6日午前7時ごろ、佐良浜漁港に到着すると、すぐに担架訓練を実施。負傷者2人を担架に乗せ、数百㍍先の医療車まで搬送した。声をかけて握手し、握力や意識の確認をしながら慎重に歩いた。
宮古島出身の新城裕樹さん(19)は「終盤の伊良部大橋から佐良浜漁港に向かう上り坂が一番きつかった。家族に『頑張ってくる』と話したことを思い出し、自分を奮い立たせた」と振り返る。「前回の25㌔訓練ではすぐにばてたが、今回は体力がついた。最後に助けを求める人を安全に運べて良かった」と達成感をにじませた。
宮古島駐屯地司令(宮古警備隊長)の比嘉隼人1等陸佐は「訓練を通じて多くの技術を吸収し、救える命を確実に救える自衛官になってほしい」と激励。訓練を終えた隊員たちは、仲間と肩を組みながら互いの健闘をたたえ合い、涙を流す姿も見られた。