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黙とうをささげる参列者ら =マティダ市民劇場

「戦争繰り返してはならない」 不戦、恒久平和誓う 市追悼式・平和祈念式 沖縄戦終結から80年

 終戦から80年の節目を迎えた慰霊の日の23日、宮古島市全戦没者追悼式および平和祈念式がマティダ市民劇場で厳かに執り行われた。遺族会関係者らが参列、献花し戦争で命を落とした人々を悼(いた)むとともに、恒久平和への誓いを新たにした。嘉数登市長が平和メッセージを読み上げたほか、市戦没者遺族会の川満俊夫会長、下地小学校の多和田旺誠さんと宮古高校の儀保佑喜仁さんが登壇し平和を希求するメッセージを朗読した。
 白百合と白菊で美しく飾られた祭壇を背に式辞に立った嘉数市長は「戦後、我が国は平和国家としての歩みを進め、こんにちに至るまで大きな発展を遂げてきた。私たちが今こうして享受している平穏な日常は、尊い犠牲とご多くの方々のご努力の上に築かれていることを、決して忘れてはならない」と強調した。
 平和メッセージでは「戦争は繰り返してはならない重い教訓。宮古島市の未来を担う全ての世代のために、平和で心豊かな郷土の創造に向けて、たゆまぬ努力をしていくことを誓う」と宣言した。
 代表者による献花では嘉数市長らが白菊を手向け、正午の時報に合わせ黙とうをささげた。
 平和作文朗読では、多和田さんが曾祖母から戦争体験を聞いたことなどを語り「学年全員で歌った『平和の鐘』で命の重さと平和の意味を知った」と述べた。儀保さんは「過去の過ちを風化させず、今の平和を守る努力を続けたい」と力強い決意を示した。
 川満会長は「私たちは戦争の恐ろしさを語り続ける責任がある」と語り、みやこ少年少女合唱団による合唱が会場に響き渡り、おだやかな祈りの空気が広がった。
 式典後には、悲惨な戦争を決して忘れてはいけないという思いから結成された地元劇団「チーム623」による戦争劇が披露された。
 1944(昭和19)年ごろ、戦況が悪化する中での宮古島を舞台にした「知られざる沖縄戦~宮古島の戦争の話~」。島は軍事拠点と化し、市民の生活は激変。劇では、軍の命令で港湾や飛行場の建設に駆り出された若者たち、食糧不足に苦しむ家族の姿がリアルに描かれた。
 物語の後半では、母親がマラリアに感染しながらも「死ぬ覚悟じゃなくて、生き抜く覚悟が必要」と娘に託す姿が描かれる。いつ終わるのかわからない不安と恐怖、明るい未来が奪われた戦争の悲惨さの中、必死に生き抜こうとする島民たちの姿が表現された。
 観客の中には涙をぬぐう姿もあり、平和の尊さを改めて胸に刻む一日となった。

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