
関係者らによる奉安殿の清掃活動が行われた
=24日、池間小学校発祥の地近く
戦後80年、歴史と平和を再認識 建築士会宮古支部 池間島の奉安殿を清掃
池間島の「池間小学校発祥の地」近くにある県内最古の奉安殿(ほうあんでん)の清掃活動が24日、建築士会宮古支部が主催の下で行われた。活動には池間自治会の仲間広二会長や関係者らが参加し、遺構周辺の草刈りや清掃を行った。

奉安殿は戦前の学校などに必ず設置されたもので御真影(ごしんえい、天皇や皇后の写真)と教育勅語を安置した特別な建物。御真影の取り扱いには最大の敬意と細心の注意が払われ、前を通るときは最敬礼をしなければならず、それらは戦後、全国的に全面撤去されている。
この清掃は同支部が戦後80年の節目に合わせて、地域の歴史や平和の大切さを再認識する機会として企画されたもの。
2023年に同支部によって行われた調査によると、この奉安殿は1928(昭和3)年に明治政府によって建てられた鉄筋コンクリート造の建物。現状は屋根などが失われた放置廃墟状態だが、建造時は90平方㍍ほどの御真影安置施設だったとのこと。県内でも稀少な近代建築遺構として、当時の建築様式や地域文化の貴重な証しとして注目されている。
同支部の下地秀政会長は「97年の歳月を経た今、この場所を通して先人の歩みや戦争の記憶、平和の尊さを伝えたい」と語った。
その上で、今後も地域の文化財や歴史遺産を次世代へつなぐ取り組みを続けるため、市や教育機関との連携を求めている。