舞台あいさつを行う三上監督 =24日、パニパニシネマ

「戦雲を晴らす側に立って」 パニパニシネマ 三上監督が舞台あいさつ

 よしもと南の島パニパニシネマ(下地史子代表)は24日、同映画館で23日から始まったドキュメンタリー映画「戦雲」の上映後、大勢の観客の前で三上智恵監督による舞台あいさつを行った。三上監督は、2015年からの8年間に及ぶ取材と与那国島への深い愛着を背景に、より多くの人に伝えたい目的でこの作品を製作したと語った。
 本作は、南西諸島の軍備化に関する報道では触れられない側面を浮き彫りにし、「正しく恐れて国防を考えることは当たり前だが、南西諸島にミサイルを集中させる現状はおかしい」「祈りだけでは平和は来ないかも知れないけど、祈りなしでは平和は来ない」と三上監督は強調し、平和を求めるメッセージを伝えた。
 「戦雲」は、南西諸島の軍備化に焦点を当てた132分のドキュメンタリーで、1500時間にも及ぶ取材を経て製作された。上映中、平和を訴える各地の出演者の声に時折、「頑張れ」と小さな声でエールを贈る観客もいた。
 三上監督は、映像を通じて南西諸島の自然や文化の美しさを伝えるとともに、島々が戦場になるべきではないという強いメッセージを込め、「空を覆う雲がどんどん大きくなるなかで光が指す場面があり、本作を観ていただいた方にはその雲を晴らす側に立ってほしい」と訴えた。
 会場に訪れた楚南有香子さんは「文化や自然、島々の愛おしさが伝わる映画」と評し、市議会議員の下地茜さんは「東京でも反響が大きい。影響が広がる映画だと感じた」とコメントしている。
 本作は東京、横浜、大阪、神戸での上映が既に満席、立ち見が続いており、三上監督によると今後、全国20都市での上映および舞台あいさつを控えている。
 同映画館では4月11日まで上映される予定となっている。

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