大城教育長(左)ら市教委と国立国語研究所は「南琉球・宮古語池間方言辞典:西原地区版」に関する記者会見を開いた =市役所3階会議室

次世代への方言継承に 逆引き索引などを実装 改訂版方言辞典

 市教育委員会(大城裕子教育長)は11日、市役所で国立国語研究所から宮古島市に寄贈された「南琉球・宮古語池間方言辞典:西原地区版」に関する記者会見を開いた。2022年に出版されたものの改訂版であり、制作著者である同研究所前所長の田窪行則氏、研究系教授の五十嵐陽介氏、高田智和氏、宮川創氏と広報室の青山智恵氏もオンラインで参加。誤植の訂正や逆引き索引の追加、見出し語の増補などの説明を行った。
 市と同研究所は、23年10月24日に言語の調査・研究・継承活動に関する協定を締結しており、この寄贈はその一環として行われた。本辞典には、西原地区で用いられる池間方言の基本語彙や成句が約6千項目収録されており、日常語だけでなく祭事や歌謡に使われる語句も含まれている。
 池間方言は、池間島、伊良部島佐良浜地区、宮古島西原地区の三地区で話されており、それぞれの地域で微妙な違いはあるものの、コミュニケーションに支障はないとされる。現在、池間方言を流暢に話せる話者は60歳以上であり、若い世代が池間方言を使わない現状が続けば、30年後には話者がほとんどいなくなることが懸念されている。
 本辞典の第一著者である仲間博之氏は、西原の言葉の母語話者であり、18年前から辞典作成のために西原の言葉をノートに記録してきた。今回、同研究所はそのノートと照らし合わせて本辞典を完成させた。
 田窪氏は「この辞典が池間方言の継承と活性化に貢献することを願っている」と述べた。ビデオ会議などを通じ、年に約120回ほど会議を行ったという。改訂点は▽西原地区であることの明記▽旧版との誤植の訂正▽見出し語を約100語増補―に加え、兼ねてより要望のあった「共通語から池間方言を引くことのできる『索引』を本辞典の最後に掲載している」とのこと。
 大城教育長は宮古島の方言消滅を危ぐしながらも「ことし西原地区が池間島から分村し150周年を迎えることもあり、地域の方たちにとっても大変喜ばしい」と感歎(たん)しそれぞれの著者および同研究所の取り組みおよび成果をたたえた。
 会見では同辞典を市内小、中、高校に配布し、また市立図書館にも設置されることを発表。さらに同辞典はオンラインでも公開され、QR先のウェブサイトでダウンロードできる。

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