市議会で産廃処理議論 農家補助、申請率数%
宮古島市議会6月定例会で22日、農業や事業系の廃棄物処理に関する議論が行われた。前里光健氏と砂川和也氏が、それぞれ異なる立場から一般質問を行ったもの。農業で出た廃プラスチック処分には補助金があるが、申請率は数%にとどまっており、前里氏は制度の抜本的見直しを要望。一方で砂川氏は、市内の事業者が廃棄物の処理に苦慮しているとの声を伝えた。市では近年、家庭ごみも含めた不法投棄が大きな問題となっている。
市は堆肥・農薬袋を含む農業用廃プラスチックの処理に補助金を交付している。補助を受けるには、指定された産業廃棄物処理業者に持ち込み、担当課に申請する必要がある。
補助実績を質問した前里氏に、石川博幸農林水産部長が直近3年間について答弁。申請件数は120~201件、全農家に対する申請率は1・9~3%で、補助率は31・9~50%と説明した。補助額は3年間合計で1604万円。
前里氏は「高齢者は処理場まで持っていくことや、申請手続きをするのが難しいのが実情。身近なところで簡単に処理できるようにしてほしいとの声が寄せられている」として、農家負担の軽減に向けた制度の抜本的見直しを求めた。
石川部長は「行政やJAなどの関係機関で、適正処理協議会を7月に設置する予定。県内ではJAが回収場所となっている自治体もあるため、できるだけ身近な場所で回収できるよう協議したい」と述べた。
砂川氏は、産業廃棄物の受け入れ先がないために発泡スチロールを細かくくだいて家庭ごみと出している事業者を紹介。「制度違反なことは本人も分かっているが、苦渋の決断だと思う」と述べ、「ごみ処理費の増大は価格に転嫁される。ルールは承知しているが、ごみの増える夏だけでもクリーンセンターで処理できればありがたい」と求めた。
また「財源の問題もあると思うが、農家には補助があってほかの事業者にはないというのは不平等ではないかとの意見もある。少しでも頭の隅において検討してほしい」と話した。
下地睦子環境衛生局長は、市は一般、県が事業ごみを扱うとの法に基づいた制度を紹介。その上で、「島内での処理が困難ということであれば、その状況を県に伝え、より踏み込んだ協議を行う必要があると考えている」と答弁した。