海保職員が乗ったSUPが流されたという想定の検証を行った =城辺の長北海岸(提供・宮古島海上保安部)

正しい知識身につけて SUP利用の注意喚起

 宮古島海上保安部は19日、城辺の長北海岸で、スタンドアップパドル(SUP)が、引潮や風の影響を受けてどのように沖に流されていくのかの検証実験を行った。宮古島市などで、ガイドもつけない状態での安易なSUP利用による漂流事案が発生しているため。一見穏やかな海でもまたたく間に沖に流され、陸に戻るのに大変な困難が生じることが確認された。同部は、正しい知識を身につけた上でSUPを利用するよう厳重に注意を喚起した。
 SUPとは、サーフボードのような板の上に立って櫂(かい、パドル)を漕ぐマリンレジャー。近年急速に人気を博している一方、手軽さからくる事故が多発している。市内でも6月、県外出身の市民3人が漂流する事案があった。ライフジャケットを着けず全くSUPの知識がない状態で、与那覇前浜から対岸の島まで行く予定だったという。
 6、7メートルの風に流され、目的地とは別の地点に漂着。近くの漁船に救助されてけがもなかったが、一つ間違えれば死亡事故につながりかねなかったとして、宮古島海上保安部は安全指導という観点から厳重注意を行った。
 陸から沖に吹く風や離岸流でどのように流されるかの検証実験を行った。
 同部は風速6、7㍍で一見穏やかな海が、初心者が違和感なく遊びやすいために最も事故につながりやすいとしている。またSUP用の道具には空気を入れて膨らませる種類のものがある。板状のものと同様に硬くなるまで膨らませなければならないが、取扱説明書を読まずに空気の入れ方が不十分で、海難につながるケースが多いという。
 検証を行った職員は、「陸からは全然わからないが、少し沖に出ると風がものすごく強くなる。陸に戻ろうとしても、距離感が全くつかめなくて自分が進んでいるのかもわからない。少しでも手を休めると沖に流されるため休憩もできず、本当に心が折れそうになった」と振り返った。
 同部は▽SUPの扱い方についての知識を修得▽必ずライフジャケットを着用▽携帯電話の所持または複数人で遊び連絡手段を確保▽しっかりと気象・海象を把握―するなど、安全に万全の注意を払った上でマリンレジャーを楽しむよう、市民や観光客に強く注意を喚起している。

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