9年で財調基金52億園減 宮古島市、30年度まで赤字見込で

 宮古島市(座喜味一幸市長)はこのほど、2022年度改訂版の市長期財政ビジョンを発表した。財政調整基金を繰り入れない場合の決算は、30年度まで赤字が継続する見込みという。赤字分の同基金で補うため、残高は21年度の84億8659万円から、30年度には32億6914万円と、9年間で52億1740万円まで減少する試算となった。一方、30年度における公債費の残高は下方修正されたため、健全化判断比率はより良好となる見込み。
 長期財政ビジョンは、市町村合併による特例事業債や普通交付税の算定加算が20年度で終了したことを踏まえ、同年度3月に策定された。市民サービスの水準を確保し、持続的な市政運営を図るため、財政運営の新たな指針とする目的。対象は21年度から30年度までの10年間。
 市財政課は21年度の決算や22・23年度の予算をふまえ、年度別収支計画を見直し。物件費や扶助費の増加を考慮して試算し直したところ、24年度から30年度まで赤字が続く見通しとなった。赤字額は7年間の累計で46億3千万円。
 試算はあくまで、物件費・扶助費の上昇率などが今後も一貫して続くと仮定したもの。18~20年度の平均で、物件費は2・3%、扶助費は1・9%増加。行財政制度など地方財政を取り巻く環境が変化すれば、変動する場合がある。
 費用の増加により赤字幅が拡大していくため、財政調整基金の取り崩しも増加していく見込み。30年度には、基金による補てん額が11億円に達する。
 市の同基金は合併直後の17年度にはわずか約700万円だった。順調に積み立てが進み18年度には約102億円まで増加したが、近年は取り崩しが続き減少。30年度には約32億円と、ピーク時の3分の1以下になる計算。
 内閣府沖縄総合事務局の調査でも、合併により類似した公共施設を多く抱えていることが、財政を圧迫していると指摘されている。旧平良庁舎をはじめ、休眠状態にある施設の迅速な利活用が待たれる。
 ビジョン策定時の20年度に比べ、地方債残高の減少額は大きくなる見込み。一般財源総額に占める公債費の割合で表す健全化判断比率は、30年度で8・2%。早期健全化基準の25%を大きく下回っている。

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