葉が風で飛ばされた葉たばこのほ場
=上野宮国
収穫最終盤に台風直撃 葉たばこに塩害の恐れ
5月31日夜から1日にかけて宮古島を直撃した台風2号により、収穫最終盤を迎えていた葉たばこに塩害などの被害が発生する恐れがある。一部の地域では、強風に吹き飛ばされたたばこの葉が道路に散乱する様子も見られた。生産農家の男性は、「あと2週間遅ければ」と頭を抱える。宮古地区の葉たばこは2022年にも、収穫期の長雨の影響で大幅な減産となっており、農家にとっては2年連続で自然災害での打撃となりそうだ。
葉たばこの収穫は4月から6月下旬ごろにかけて行われる。台風が通り過ぎつつあった1日午後、市内各地のほ場では、たばこの葉が黄色く変色したり、飛ばされた葉が畝や周辺道路に散乱するなどの被害が確認された。
農家の男性は「台風の風は潮風なので、塩害が出るだろう。天気が回復して太陽が出てくると、赤く変色して『塩やられ』という状態になる。また、吹き飛ばされなくても葉同士がこすれて駄目になってしまうこともある」と説明。
「収穫を急ぐと言っても、処理する施設にも限界がある。ほ場の立地などによって状況は違うだろうが、去年より収量が落ちる人もいるかもしれない。せめてあと2週間遅く来ていてくれれば」と肩を落とした。
昨年は収穫最盛期にあたる5月の降水量が、平良下里で815㍉となるなど、各地で平年の約3倍と同月の過去最高を更新。長雨により疫病(ボタモチ病)が発生して収量が大幅に低下した。買入代金は約7億9800万円で、21年産に比べて13億5600万円、74・1%と大幅減。
台風2号による影響がどれほどのものになるかは現在のところ不明だが、2年連続の自然災害が農家経営に打撃を与える恐れがある。全国的なたばこ需要の減少で戸数や作付面積も減少傾向にある中、生産農家に苦境が続いている。