子牛平均価格が50万円を割込んだ5月期肉用牛セリ市 =宮古家畜市場

子牛価格50万円割り込む 5月期牛セリ、前月比べ9万円下落

 JAおきなわ宮古地区本部(下地誠本部長)の2023年5月期肉用牛セリ市が19日、宮古家畜市場で行われた。月齢12カ月以内の子牛は318頭(97・25%)が販売され、1頭当たりの平均価格は46万4307円で前月比9万1154円安、前年同月比16万794円安と大幅に下落。50万円台を割込み、ほぼ10年前の価格水準となった。飼料が高騰する中、牛肉需要が回復しないことなどから子牛価格は下落傾向にあり、農家は厳しい経営が続いている。
 成牛を含めた販売額は1億5576万円。子牛価格の内訳は去勢が53万4285円で前月比7万5971円安、前年同月比14万4293円安、牝が38万5863円で前月比9万2666円安、前年同月比16万3444円安。1頭当たりの最高価格は去勢が91万6300円、牝が103万9500円。平均体重は去勢288㌔、牝264㌔で計276㌔。
 子牛のセリ価格は飼料価格の高騰に伴い昨年5月から下降し、50~60万円台で推移。今年3月と4月は55万円が続いていた。今月は県内全市場で下落したが、前月比の下げ幅は宮古が最も大きかった。13年度の宮古地区の平均価格が47万円だった。
 JA宮古地区畜産振興センターは「ここまで安くなるとは思わなかった」と落胆し、「人の流れが活発になっても肉の消費が伸びず枝肉価格が上がらない。購買者も経営が厳しく無理はできない。この状況が続くと農家の経営意欲が低下してしまう」と危惧する。
 母牛5頭を飼う平良の60代農家は「2カ月前に出したときより安くなった。飼養頭数は少ないがエサ代も上がっているので生活が厳しい。コロナも収まってきたので今月は期待していた。今は辛抱するしかない」と表情を曇らせた。
 上野の30代農家は「価格がもう少し上がってくれないと経営が相当厳しい。飼料や資材が高騰していて生活に直結する。購買者も経営があるので理解できる。良い牛を作って出荷するしかない。これだけ下がると行政の支援があれば助かる」と話していた。
 宮古和牛改良組合の荷川取広明組合長は「コロナが落ち着いて下げ止まったかと思ったが。この価格が続けば農家は資金繰りが難しくなる」と心配し、「系統が良く増体のある牛はそれなりの価格で売れており、そうした牛づくりをする必要がある」と話した。

関連記事一覧