ことし初めての収穫作業を行った =大浦漁港

「有機アーサ」収穫始まる 日本初JAS適合認定

 宮古島漁業協同組合の養殖アーサ収穫が30日、大浦漁港で始まった。日本で初めて有機JASに適合している「有機アーサ」と認定されたもので、同漁協はブランド力向上を通した販路拡大による漁業者の所得向上実現へ力を込める。認定を取得するために特別な取り組みを行ったわけではなく、宮古島従来の栽培方法が有機JASに適合した品質の高いものと分かって取り組みを進めたという。収穫のピークは2月で、今期は16㌧を生産予定。

出来の良さに笑顔の漁協職員=宮古島漁協


 有機JASは日本農林規格の英語略。農林水産省の指定する第三者機関から、農薬や化学肥料などに頼らないことを基本として自然界の力で生産していると認定を受けることで、有機JASマークを使用することができる。マークは太陽と雲と植物をイメージしてデザインされているという。
 海藻類が有機JAS規格認証を受けるには、色味を着けるための薬品や成長を促進させる化学肥料を一切使用しないなどの条件がある。宮古島には川がないため、生活排水や工場排水など陸からの流入がほとんどなく、従来これらを使わずにアーサを育てていた。国の認める規格に適合した品質の高いものであることが分かったため、農業生産法人の島酒家と「あおさ有機の会」を設立し、協力して取得に取り組んだ。
 栗山弘嗣組合長は「他の生産地が追随することはなかなか難しいと思う。宮古産の優位性をアピールすることで販路拡大に取り組み、漁業者の所得向上につなげたい」と力を込める。
 収穫に立ち会った漁協職員の下村貴浩さんは「大浦は約30㌧の生産が可能だが、売り先がなく制限してもらっていた。有機JASを武器にして生産を拡大したい」と説明。また「昨年11月の長雨や年明けからの時化など天候が厳しく、品質を心配していた。生産者が一生懸命努力してくれたおかげで、品質の良いアーサが育った」と喜んだ。
 この日約180㌔を収穫した松原幸夫さんは「ようやく宮古も軌道に乗ったと感じる」と期待を寄せる。
 昨年までと栽培方法に違いはないが、有機JASマークを付けて販売できるのは今期産から。日本初のインパクトは大きく、県内外の量販チェーンから強い引き合いがあるという。ヨーロッパへの進出も視野に入れて準備を進めている。

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