3地域でミャークヅヅ 伝統守り繁栄を祈願
旧暦9月の甲午(きのえうま)に当たる8日、池間島、伊良部佐良浜(池間添、前里添)、平良西原の3地域で「ミャークヅツ(宮古節)」が始まった。池間島を由来とする地域の伝統行事で、向こう1年の豊作豊漁、子孫や集落の繁栄などを祈願するもの。コロナ禍で一部縮小が続いているが、ことしからは地域住民も参加して盛大にクイチャーが踊られるなど、元の姿を取り戻しつつある。佐良浜は4日間、池間と西原は3日間行われる。
● 池間島
池間島のミャークヅツ(初日)ではツカサンマや各ムトゥ代表、地域住民が五穀豊穣や子孫繁栄を祈願しながらクイチャーを踊り、3年ぶりに力強い「ヒヤサッサ」の掛け声が島を駆け抜けた。クイチャーは3日間行われる。
コロナ禍の感染対策により例年、水浜広場で行われていたウヤ(男衆)によるクイチャーと前年に生まれた新生児を本家の神に報告する「ヤラビマス」は中止になったが、6年ぶりに誕生したツカサンマ(女司祭)による神踊りが行われた。
ツカサンマが塩と神酒でニガイ(祈願)を行い、神踊りを行ったあと、クイチャー踊りがツカサンマの歌声と共に始まった。
クイチャー踊りでは感染対策のため各ムトゥ(真謝、上げ桝、前ぬ屋、前里)の代表のみの参加となった。ツカサンマ、各ムトゥ、最後は地域住民が一緒になり、「ヒヤサッサ」の掛け声とともに3年ぶりのクイチャーを楽しんだ。
去年新55歳となった沖縄本島在住の奥浜尚人さんは「去年はムトゥの宴会だけで、ことしはクイチャーを踊れると知って楽しみに帰ってきた」と話した。
仲間広二池間自治会長は「走ったり跳んだり、池間特有の踊りを3年ぶりに地域住民が力強く、楽しそうに踊っているのを見て感動した」と述べた。
● 池間添、前里添
佐良浜では池間添18人、前里添20人計38人のミーウヤが、ジャー(広場)で3年ぶりに輪になってクイチャーを踊った。地域住民も大勢参加し、「ヒヤサッサ」と賑やかなかけ声が集落にこだました。
佐良浜のミャークヅツは池間添の「モトムラ」、前里添の「ナカムラ」の2つの共同体に分かれており、モトムラでは数え47歳、ナカムラでは同じく50歳がミーウヤとして参加する。
通常はジャーで暗くなるまで盛大に踊った後、池間添は池間村拝所、前里添は旧前里村ブーンミャーの中でミーウヤが1人ずつ踊る。コロナ禍のため2年連続でジャーでの踊りは中止されていた。広場にはミャークヅツを祝うやぐらが建ち、屋台も出店されるなど、賑やかな儀式が佐良浜に戻ってきていた。
池間添のミーウヤで同期会会長を務めているという前泊洋平さんは「3年ぶりに皆で踊れるのを楽しみにしていたし、地域の人の笑顔が見られるのが何より」と語った。
前里添のツカサウヤ西原剛さんは「2度目の成人式のようなもので、ミーウヤここから年寄りの仲間入りをして還暦に向かっていく。元の形で踊れてよかった」と話した。
● 平良西原
平良西原のミャークヅツは8日、仲間(ナイカニ)御嶽で行われ、地元関係者だけでアラビ(初日)を祝った。満48~55歳の「マスムイウヤ」らが酒を酌み交わしながら向こう1年の豊作・豊漁・地域繁栄を祈願した。仲間忠自治会長は「150年の伝統を守りたい」と話した。
ミャークヅツはこの日の午前8時から始まった。仲間自治会長があいさつしたのちミャークヅツの由来を説明し、マスムイウヤの6人が紹介された。
その後はマスムイウヤたちが酒をついで回りながらマイクを手にあいさつし、各々が地域の発展を願った。
仲間会長は「コロナの影響で縮小開催ではあるが、一度も中止せずに続けてこられてうれしい。2024年に150周年を迎える絶対欠かせないものなので、しっかり伝統を守って続けていきたい」とあいさつした。
新任マスムイウヤの与那覇周作さんは「この1年に生まれた子どもの健康を祈願するニガイを行う。精一杯がんばるので応援をお願いしたい」と話した。
2日(ナカヌビ)となる9日早朝からは、地域で1年間に生まれた子どもの名前をマスムイウヤらが報告するニガイを行う。