泥を塗り厄払いをするパーントゥが集落内で大暴れした =平良島尻

パーントゥ大暴れ 島尻集落 泥を塗りつけ厄払い

 国の重要無形民俗文化財に指定されている伝統祭祀「島尻のパーントゥ」が25日、市内平良の同集落で始まった。全身泥まみれの奇神パーントゥ3柱が集落内を駆け回り、住民や建物などに泥をつけて厄を払い、向こう1年の無病息災を祈願した。きょう26日も行われる。
 午後5時過ぎに「キャーン」と呼ばれるつる草を身に付け、仮面と杖を手にした3柱のパーントゥが集落のはずれにあるンマリガー(生まれ井)から姿を現した。集まった子どもたち、地域住民、観光客らが顔と体に容赦なく泥を塗られ興奮した様子で逃げ回った。
 日が落ちるにつれ多くの市民や観光客らが訪れ、カメラや携帯電話を手に多くの人の恐怖心と好奇心が交錯。女性や小さな子どもの「くさい」といった悲鳴や歓声が集落内に広がった。家族で訪れた人の中には怖がって泣きわめく小さな我が子を強引にパーントゥの前に差し出し、厄払いをする姿も見られた。
 パーントゥは集落内でこの1年に新築・改築された家や子どもが生まれた家庭に上がり込み、部屋の中の赤ちゃんの顔に泥を塗り、無病息災と家内安泰を祈願した。
 上野在住で初めて訪れた家族連れは「パーントゥを直に見るのは初めて。子どもは『くさいからお風呂に入りたい』と泣いているし、泥はとてもくさいと聞いていたが本当だった」と厄を払えて笑顔をみせた。
 「島尻のパーントゥ」は来訪神の仮面を着けた神が集落内の悪霊や悪疫など厄払いを行いながら練り歩く。

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