融資実績グラフと沖縄公庫宮古支店外観(平良東仲宗根)=合成

沖縄公庫宮古 設備資金が大幅増加

 沖縄振興開発金融公庫宮古支店(嶺井忍支店長)は28日、2021年度融資実績が件数で前年度比57・3%減の542件、金額が49・7%減の89億4100万円となったと発表した。新型コロナ特別貸付の資金需要で大幅増加した前年度の反動で半減したが、コロナ禍で見送っていた設備投資の需要が回復し、融資実績はコロナ前の19年度と比べて2倍となった。前年度、需要が過去7年間で最も低くなり、10億円台を下回った設備資金は、宮古管内で企業の設備投資マインドが改善し、前年度比で大幅に増加した。

21年度の融資実績を発表する(右から)安慶名忍総務課長、嶺井支店長、岡清志業務課長=同支店


 資金の使途別は、新型コロナウイルス感染症特別貸付に関連する運転資金の需要が66・1%減の57億1200万円と落ち着く一方、設備資金は9億円から32億2900万円となり構成比も5・1%から36・1%と大きく伸びた。
 嶺井支店長は、宮古管内は県内他支店と比べて設備資金の割合が高いと指摘した上で、「アフターコロナを見据えた設備投資と見られる」として「景気回復が見えてきたことを示している」と述べた。
 資金別は、生業が65・8%減の43億5500万円、中小企業が11・5%減の38億8200万円となったが、生活衛生は22・3%増の15億9000万円、農林漁業は66・8%増の4億1700万円と前年度を上回った。前年度で融資のあった医療はなかった。
 教育資金実績は131件、1億2900万円。沖縄公庫独自の離島特例のほか、母子・父子家庭特例の利率や返済期間が優遇される制度の利用があった。
 業種別融資額(構成比)は、コロナの影響が大きい宿泊・飲食サービス業が20億2700万円(22・7%)と最も大きく、次いでサービス業19億5700万円(21・9%)、建設業13億2100万円、不動産業10億7600万円の順。
 卸・小売業は運転資金需要がコロナ禍前の水準まで落ち着き、20年度の33億1600万円(18・7%)から7億1900万円(8・0%)と大きく減少したことが特徴。一方、建設業、サービス業、不動産業は設備投資の需要が回復し、割合が増加した。
 宮古島商工会議所及び伊良部商工会が推薦する小規模事業者経営改善資金、いわゆる「マル経資金」は、新型コロナの影響が長期化した要件でコロナ特別貸付利用が増えたことなどから、件数が29・5%減の55件、金額が34・3%減の4億2400万円となり、3年連続で前年度を下回った。
 同支店は今後も、関係機関や民間金融機関と連携強化し、新型コロナで影響を受ける事業者の資金繰り支援など宮古圏域の多様な資金ニーズに適切、迅速に対応する方針を示した。関連してコロナ影響で業績が厳しい融資先については、返済方法や条件変更などの相談に応じているという。

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